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【永久保存版】ランチェスター戦略の教科書 -理論編-

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あなたは「ランチェスター戦略」を
どのような戦略かご存知ですか?

  • 一体、誰が提唱した戦略なのか?
  • どんな企業が実際に使っているのか?
  • ランチェスター戦略は何が優れているのか?
  • 零細企業にも使えるのか?なぜそう言えるのか?
  • ランチェスター戦略のオススメの本はどれか?

など、
もし、あなたが「ランチェスター戦略」を
マスターしたい気持ちが少しでもあるなら、
おそらく、この記事が最適な内容になるでしょう。

人に教えることのできるレベルまで
すべてと言って良いほど落とし込みました。

数十年も前に誕生した
ランチェスター戦略のルーツを紐解き
あなたに“全貌”をお届けしたいと思います。

では早速、
ランチェスター戦略が一体何なのか?を
解説していきます。

この-理論編-の記事をお読み頂いたあとは、
-実践編-もぜひご覧いただき
自社の実務へご活用ください。

【永久保存版】ランチェスター戦略の教科書 -実践編-

【第1章】目次はこちらをクリック

ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略とは一体何なのか?

ランチェスター戦略とは、
ランチェスター法則という
「BATTLE(戦闘)の勝ち負けの法則」と、
クープマンモデル
(ランチェスター戦略モデル式)という
「WAR(戦争)の勝ち負けの法則」をベースに
開発された戦略論です。

開発者は、日本人コンサルタントの
『田岡信夫(たおかのぶお)』氏で、
1972年「ランチェスター販売戦略」として
世に発表したもの
です。

内容は、企業と企業の営業、販売競争において
どのようにすれば勝ち残れるのか? という『理論』

更に、現場でどのように実行すればよいのか?
という『実務体系』までがセットになった
日本固有の販売戦略です。

また、会社規模を問わず
多大な成果を上げてきたことから
『競争戦略、販売戦略のバイブル』
呼ばれています。

しかし、
ランチェスター戦略は、
情報収集が容易になったこともあり、
誤った認識で本物のように語られるもの

また、ランチェスター戦略の持つ概念やその一部を、
応用した派生論までネット上に流れています。

この記事では、その辺りの事実関係も
少し整理してお話していますので、
参考にしていただけたらと思います。

ランチェスター戦略を学ぶメリット

ランチェスター戦略は誰に必要な戦略か?

ランチェスター戦略は、
ビジネスをしている人にとって
学んでおくべき戦略です。

なぜなら、
ビジネスというゲームにおける、
攻略本を持つことにも等しい
メリットをもたらすからです。

ランチェスター戦略の本質さえ理解していれば
ムダな損失を被る確率が格段に減ると、
自分自身の実体験からも強く感じています。

これは2012年〜2013年の
私、木下の実話です。

僕は共に営業畑を歩んだ
優秀な友人と共に起業します。

その後、
2人で会社をつくったまでは
良かったのですが…

僕たちは
ただ、威勢だけで突っ走ったために
結果、大失敗を犯します。

支払いのお金で残金は底を尽き
キャッシュが回らず、
チームを解散させざるを得なかった…
とても悔しい経験。

僕たちについて来てくれた
大切な仲間に給料を支払って
あげられない状況。

当時の自分たちの浅はかさのせいで
苦渋の決断を余儀なくされたのです。

そんな中、
もがき苦しみながら何とかやりくりしていた
ある時のこと…

ある経営者の方に目をかけていただき、
僕はこのランチェスター戦略に
出会うことになります。

正確には、田岡信夫氏の教えを伝える
日本ランチェスター協会という団体で学びました。

そこでランチェスター戦略の基礎を習得し
インストラクターになったのが
ランチェスター戦略と僕の出会いです。

このインストラクターとは何かを簡単に言うと
「ランチェスター戦略を教えて良い」
という許可を与えられた人のことです。

ちなみに私は、
ランチェスター戦略を応用した
独自経営論を教えている方々の内容も
同時に拝見しながら学びを深めました。

そして、再度独立、

自分のビジネスやクライアントにも
ランチェスター戦略という理論を元に
マーケティングを指導します。

結果、すぐに何億円もの収益向上に
貢献することができました。

今では、より時代にフィットさせるべく
ランチェスター戦略を現場状況にカスタマイズ、
Webマーケティングへ応用することで、
更に高い価値提供ができるようになっており
今後は更なる価値貢献ができると確信しています。

そんな、大きな力を秘めた指南書
ランチェスター戦略を伝えたい。

ひとりでも多くの方へ知ってもらい、
戦略的思考の一助になればという思いです。

この記事では、まず【原点】とも言える
『田岡式ランチェスター販売戦略』の
考え方に極力沿って、
『源流のランチェスター戦略とは
一体どういったものなのか?』

  • 「値下げ・割引き一辺倒で
    中々目立った成果を出せなくて苦しい」
  • 「資金が潤沢にあるわけじゃないけど
    必ず突き抜けたい!」

そんな、最前線で頑張っているあなたへ
その理論の背景から実務体系を解説していきます。

ちなみに、前後関係や詳細を記載して
文章が長くなっていますので
全文読むのはしんどいかと思います。

まずはざっと知りたいところを読み、
それによって前後を知りたくなったら
該当箇所を読込んでください。

1度で読み切るのも良いですが、
どちらかというと何度も読み返すことで
しっかり自分のものになるよう
咀嚼していただけると幸いです。

ランチェスター戦略の提唱者

ランチェスター戦略の提唱者は誰か?

ランチェスター戦略は、
日本の草分け的コンサルタントの
田岡信夫(1927年〜1984年)が
1973年に提唱した販売戦略論です。

同氏は東京都立大学の大学院修了後に
社会心理研究所、日本広告主協会などを経て、
1964年に経営統計研究会、
1976年にランチェスターシステムズを設立。

ランチェスターの法則をもとに
ランチェスター戦略を提唱しました。

ランチェスター戦略を学べる場所

ランチェスター戦略を伝導する団体

ランチェスター戦略を伝える人達を整理をすると
下記のような形になります。

特定非営利活動法人ランチェスター協会

名誉会長である田岡佳子氏と
理事長の竹端隆司氏をトップとして活動中。

現在、常任理事・研修部長の福永雅文氏が
教育長という立場でインストラクターを
教育指導しランチェスター戦略の
普及啓蒙に努めている。

姉妹団体にランチェスター戦略学会という、
ランチェスター戦略を更に研究・展開し、
ビジネス領域のみならず広い分野で
社会貢献することを目的とする団体がある。

ランチェスター経営

竹田陽一氏を原祖として
同氏の教えを元にランチェスター戦略を応用し
ご自身もコンサルタントとして
ご活躍されている方々

栢野 克己氏、菅谷 信一氏、
佐藤 元相氏などその他多数。

また、竹田ランチェスターを学ぶ
勉強会を主催する団体として、一般社団法人
竹田ランチェスターアカデミーがある。

上記の通り、大きくは2つの流れがあり
ランチェスター協会と
ランチェスター経営があります。

ランチェスター経営の竹田陽一氏は、
35歳の時に田岡信夫氏のセミナーに
参加したことがきっかけで、
ランチェスター戦略に出会います。

その後、
田岡氏のカバン持ちをしながら理論を学び
ランチェスター法則の歴史、文献を研究。

竹田氏はその理論に
独自の考えや経験を踏まえ、
遂に竹田陽一氏なりの
ランチェスター戦略を生み出します。

竹田氏はとてもユーモラスな方で
論理性と人間性を武器に情報発信を続け
数々の経営者に影響を
与えていらっしゃる方です。

また沢山書籍も出されているため有名です。

そのため、中には竹田理論を源流の
ランチェスター戦略と捉えられている方も
いらっしゃいます。

しかし、実は正式なことを言うと、
竹田氏のランチェスター経営理論は
ランチェスター戦略を独自派生させた戦略です。

具体的には、経営を構成する
8大要因と実行手順をまとめた
竹田ビジネスモデル(竹田ランチェスター)
として提唱しているものです。

なので、田岡信夫氏の生み出した、
源流のランチェスター戦略という意味では、
正式に普及・啓蒙団体として存在している
ランチェスター協会が本家となります。

ただ、これはどちらが正しいとか
間違っているとかではありません。

こうした経緯で
ランチェスター戦略というものが
多くの人を通じて解釈が広がり、
様々な形で波及して影響を与えているということを
この記事でご理解いただけたらと思います。

しかし、
ちょっと疑問に思いませんか?

どちらにせよ登場人物は皆、日本人です。

それなのになぜ、
「ランチェスター戦略」という
カタカナの名称が付けられているのでしょうか?

ランチェスター戦略がカタカナの理由

ランチェスター戦略はなぜカタカナ名称なのか?

日本人が編み出した販売戦略論なのに
なぜ「ランチェスター戦略」という
カタカナで呼ばれているのか?

それは戦争における
戦闘の勝ち負けの理論であった
【ランチェスター法則】という理論を
現代の「商売の競争へ応用」したため、
原点の理論を提唱した人物名でもある
「ランチェスター」の言葉を残して
ランチェスター戦略と呼ばれていたのです。

では、そのランチェスター戦略の
生まれる前の原点となった、
『ランチェスター法則』について
解説していこうと思います。

が、その前に…
そもそもランチェスター戦略とは一体、
どれほどの『パワーを持っているのか?』

その「証拠となる事実」を
お話しておこうと思います。

競争戦略のバイブルと呼ばれるゆえん

ランチェスター戦略は競争戦略のバイブルと呼ばれる

ランチェスター戦略とは、
『戦争』の勝ち負けのルール
『企業』の勝ち負けのルールに応用した
『理論』と『実務体系』のことです。

またランチェスター戦略は、
日本の商習慣、地域特性に合わせて
作られている日本固有の戦略論です。

更に、ランチェスター戦略のことを、
「競争戦略、販売戦略のバイブル」
と呼ぶことさえあります。

しかし、そこまで神格化されているのは
一体なぜなのでしょうか?

その理由は、
ランチェスター戦略が【強烈な結果】を
もたらしているからに他なりません。

ランチェスター戦略を活用する企業名を公開

ランチェスター戦略を実践し成果をあげた企業

ランチェスター戦略を実際に活用して
どんな企業が結果を出してきたのか?

それはもう『そうそうたる面々』です。

ランチェスター戦略は、
トヨタ自動車、ブリヂストンタイヤ、
アシックス、カネボウ、武田薬品、
松下電器、SONY、日本生命など、

私たち日本を代表する大企業はもちろん。

ソフトバンク、H.I.S、フォーバルなど
当時はまだ小さなベンチャー企業だった会社まで
もが
積極的に学び、取り組み、実践し、
多大なる成果を実証してきました。

また、経営コンサルティング会社で
有名な船井総合研究所(船井総研)の創業者である
船井幸雄氏にもリスペクトされ、
応用・活用されます。

ランチェスター戦略は、
日本のコンサルティング分野ににおいても
大きく影響を与えることになったのです。

そのため、
ランチェスター戦略は別名、
『競争戦略、販売戦略のバイブル』と
までに語られるゆえんとなった
という訳です。

ランチェスター戦略で成果が続出する理由

なぜ、ランチェスター戦略を活用すると、
成果が続出するのでしょうか?

その理由は2つあります。

  1. ビジネスの勝ち方を説く理論だから
  2. 実務体系があり実践しやすいから

上記の理由から、ランチェスター戦略を使うと
成果が出やすいのです。

ひとつずつ見ていきましょう。

ランチェスター戦略は「勝ち方を説く理論」

ランチェスター戦略は勝ち方の理論がある。

ランチェスター戦略は、
勝ち方を説く理論です。

しかし、勝ち方を説く理論と言われても
ピンと来ませんよね?
そこで質問です。

あなたはゲームで対戦したことはありますか?

たとえばストリートファイターとか鉄拳など
殴り合いで勝者を決める格闘ゲーム。

他には、「三国志」や「信長の野望」といった
戦略シミュレーション、人生ゲーム等の
ボードゲームを想像してみてください…

とにかく僕は、
めちゃくちゃゲームが好きだったので
どれもやり込んだクチです。

ちなみに、
これらのゲームにはうまく進めるための
ある【共通する要素】があるのですが、
あなたは何だと思いますか?

・ ・ ・

・ ・ ・

・ ・ ・

答えは、
「ルール」です。

「ゲーマー」は「素人」に圧勝する

ルールを知っているものが圧勝する

ここで言う「ルール」とは
説明書にのっていないものも含まれます。

やっている人にだけはわかること。

たとえば、
「このタイミングで
あることをやれば上手くいく」

このような
特定の状況における「法則」のことです。

これを
「知っているか」
「知らないか」

これだけでゲームの難易度が 遥かに変わるのです。

その中の一部には、開発側も意図しない
俗にいう「チート」=裏技も含まれます。

なので、この 「ルール」を活用している人と、
「ルール」を知らない人の対戦だと、
手加減してもらわない限り、
知らない人はまともな勝負ができません。

「ルール」活用している人に
「ルール」を知らない人は
コテンパンにやられてしまいます。

想像してみてください。

もし、あなたが、
この「ルール」を知っていたら?

あなたが「ビジネスというゲームのプロ」
言わば「ゲーマー」だったとして、

「素人」さんを相手にしたら、
一体...どんな結果になるでしょうか?

どれだけビジネスが楽になるでしょうか?

あなたが役立つ商品を扱っているなら
Mr.マーケットの「餌食(えじき)」には
ならないでください。

ゲームの「ルール」を手に入れ
勝負を優位に、そして…
勝ち抜いてほしいのです。

ランチェスター戦略は
「ビジネスにおける勝ち方のルール」です。

1970年代に起きたオイルショックにより
それまでの高度経済成長期の好況から一転、
真っ逆さまに不況に陥ったときに
日本で産声を上げた競争戦略です。

当時の経営環境は、
昨今の状況に近い状況でした。

創始者の田岡氏は考えます。

多くの業界で需要が増えず
市場がどんどん縮小していく中で
「企業はビジネスをどう行えば
勝ち残っていけるのだろうか?」

昔のように気合や意気込みだけの
力任せの経営ではダメだ。

これからは科学的で論理的な経営戦略、
営業戦略が求められる。そんな風に。

そして、
ランチェスター戦略を学び取り入れた
企業の多くはどうなったでしょうか?

当時のオイルショック、大不況を乗り換え
今日も繁栄、成長しています。

つまり、
あなたもランチェスター戦略という
『勝ち方を説く理論』を活用すれば勝てます。

これが成果の上がる理由の1つです。

ランチェスター戦略は「実務体系があり実践しやすい」

ステップ・バイ・ステップの実務体系がある

ランチェスター戦略は、

  • 海外の学者が提唱した理論ではありません。
  • アカデミック(学術的)な理論でもありません。
  • 抽象的で複雑な理論でもありません。

ランチェスター戦略は、
実務体系まで整った戦略論です。

ちなみに戦略論には、
たとえば以下のようなものがあります。

  • マイケル・ポーター「競争戦略」
  • ジェイ・バーニー「企業戦略論」
  • W・チャン・キム, レネ・モボルニュ
    「ブルー・オーシャン戦略」
  • フィリップ・コトラー「マーケティング戦略」
  • エイドリアン・スライウォツキー
    「プロフィット・ゾーン経営戦略」

一般的に「聞いたことあるな」というものから
「何それ?」みたいなものまで沢山あります。

中身もそれぞれ「なるほど…確かにそうだな」と
関心させられるものが多いです。

しかし、
いざ「戦略が大事だ」とは言っても
僕たちが学んだ戦略で、
『ひとつでも現場に取り入れることができて』
『検証できるもの』はあったでしょうか?

でも、
もしあなたが過去に
戦略を実行できず終わっていたとしても、
実は、「仕方ない」とも言えます。

元マッキンゼーの経営コンサルタント
舟崎隆之氏はこう著書で述べています。

『企業変革の戦略を策定したものの、
実施レベルまでブレイクダウンできず、
結局何も変わらない』

つまり、ほとんどの場合、
「戦略を実行に移せなかったこと」が
『結果を出せない1番の原因』
だった
ということです。

だから、
もしあなたが何かしらの戦略論を知っていて
今、その恩恵にあずかれていないとしても
それは何ら不思議なことではないのです。

では、
なぜ、戦略を実行に移せないのでしょう?

その答えは明確です。

今までの戦略論には、
『実務体系』が無かったからです。

だから、実際の行動に移したくても
アクションプランが無いために、
どのように進めて、検証していけば良いのかわからない
という罠にハマっていました。

ただ、もう、その心配はいりません。

なぜならランチェスター戦略には、
その肝心な『実務の体系』が備わっているからです。

ランチェスター戦略の「実務体系の種類」

ランチェスター戦略には4つの実務体系がある。

ランチェスター戦略の実務体系は
主に以下の4種です。

  • 市場参入戦略
  • 地域戦略
  • シェアアップ戦略
  • 営業戦略

詳細は実践編で説明しますが
ここでも簡単にご紹介します。

市場参入戦略の概要

まず、ランチェスター戦略は
基本的に成熟市場での企業間競争を軸に
考えられている戦略です。

しかし、全部が全部
成熟市場、衰退市場というわけではないですよね。

業界、商品など、ものによっては
「導入期の市場」や「成長市場」と
いうこともあります。

そこで「市場参入戦略」では
「導入期」ならどうするべきか?
「成長期」ならばどう攻めるべきなのか?

“時”を考える上で大切なパートとして
準備されています。

地域戦略の概要

ランチェスター戦略の実務体系2つ目は、
地域戦略です。

ビジネスにおいても限られた戦力(経営資源)で
如何に効率よく戦っていくのか?は
大事なことですよね。

そこで、バトルフィールドの状況は
どうなっているのか?

あなたのビジネスで重点化する市場を決め
賢く攻略する上で大切なパート、
それが2つ目の実務体系「地域戦略」です。

シェアアップ戦略の概要

ランチェスター戦略3つ目の実務体系が
「シェアアップ戦略」です。

ここでは重点化した市場の生態系に属する
対象顧客、見込み客の全数調査を実施。

市場総点検活動による
徹底した数値化によって
優先順位を見える化します。

ちなみにランチェスター戦略では、
「シェア」という指標を
とても大切にしています。

このパートでは
「シェア」という指標を用いることで、
あなたのビジネスの競合との力関係、
市場規模が浮き彫りになります。

たとえ零細企業でもシェアという概念が
自社に適用され、力を入れるべき顧客、
戦うべきライバルがわかるようになります。

営業戦略の概要

ランチェスター戦略、4つ目の実務体系が営業戦略です。

私は光通信というかなりガツガツの
営業会社に勤めていた経験があります。

その当時は非常にスパルタの気合、
精神論色の強い営業スタイルでした…
(今はかなり変わったと思います)

ここでは、そうした根性論とは
相反する考え方で営業活動を科学します。

たとえば、量、頻度、手法を見直し
改善するためのマインドセット。

営業担当者ベースでの
戦略と戦術にフォーカスして
どのような戦略的立ち回りをすれば良いのか?

そうした営業プロセスを最適化させる
パートとなっています。

【まとめ】ランチェスター戦略とは何か?

さて、いかがでしょうか。

ここまでを一回まとめると…

・ランチェスター戦略は
「BATTLE(戦闘)の勝ち負けのルール」
=ランチェスター法則と
「WAR(戦争)の勝ち負けのルール」
=クープマンモデル(ランチェスター戦略モデル式)を
「ビジネスの企業間競争における
勝ち負けのルール」
へ応用した販売戦略。

・戦略の大元になった法則名と開発者が
「ランチェスターという人物」なので
「ランチェスター戦略」と名付けられた。

・ランチェスター戦略を提唱した人物は
日本のコンサルタント「田岡信夫氏」

・ランチェスター戦略は、日本の商習慣、
地域属性に根ざした「日本固有」の戦略論。であり
「大企業から中小ベンチャー企業まで」が
取り組み、実績を上げている成果実証済み
の戦略。

・ランチェスター戦略は、多くの企業が実践し
多大なる成果を上げたことから
「競争戦略、販売戦略のバイブル」と呼ばれる。

・ランチェスター戦略は、
ビジネスの勝ち方を説く
「理論(ルール)」と
「実務体系」がセット
になっているため
行動しやすく、成果が出やすい。

・「実務体系」は、

  • 市場参入戦略
  • 地域戦略
  • シェアアップ戦略
  • 営業戦略
以上の4つで成り立っている。

上記がランチェスター戦略の概要まとめです。

ランチェスター戦略とは一体、何なのか、
その正体が少し見えてきたでしょうか?

ちなみに、現実のビジネスでは
戦略を持たず戦っているケースが多いです。

そうした、僕達のビジネスを
取り巻く環境はどうなっているのか?

その声を聞いてみると、、
「厳しいですが、踏ん張りどころです」

そんな経営者の声を幾度となく聞きます。

苦しい時代で、皆頑張っているということです。

それは、
次のデータからも明らかです。

【第2章】目次はこちらをクリック

戦略なき販売競争の末路

戦略なき販売競争の末路


(出典:倒産の状況|中小企業庁)http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/tousan/

過去4年の倒産理由は、

販売不振がダントツ

69.9%が、
販売がうまく行かなくて倒産

既往のしわよせ、放漫経営など
正しい戦略を実行していなかったがために
倒産したところも合計すれば、、
なんと90%近い企業が、
マーケティング活動が原因で
倒産に追い込まれています。

戦略が無い=大手寡占化という現実

次々と淘汰される現実。戦略がない危険性

私は昔、パチンコ店で
働いていたことがあります。

勤めていたパチンコ業界では、
どこか緩い感じの地域文化が存在し、
共存型の持ちつ持たれつのところがありました。

しかし、今はどうでしょう。

大型のチェーン店が次々と介入し
経営資源の乏しい地元パチンコ店は
次々と淘汰(とうた)されています。

この現象は、後述するランチェスター戦略の
「競争パターン、シェアの推移」と酷似
しています。

今後もパチンコ大手の寡占化はどんどん進み、
今は3,000程度あるパチンコ会社も
いずれ1,000社を切るとさえ言われているほどです。

では、あなたに質問させてください。

この厳しく過酷な現実は、
「私の業界に、まったく関係ない」
そう自信を持って言い切れるでしょうか?

あなたの会社に販売戦略はあるか?

戦略がない=リスク

ちなみに実際のところ、
中小零細企業のほとんどが
前月比、前年比だけを意識しています。

「過去の数値に対してどれだけやるか?」
を元に販売を組み立てているのです。

でも、その感覚で
「ビジネスは今後も伸びていくか?」
といったら…どうでしょうか?

そこに蓋然性(がいぜんせい)はありますか?

今や市場のパイは縮小傾向で
どんどん競争が激化。食い合いの市場がほとんど。

誰かが増えれば、誰かが減る、
FXと同じゼロサム・ゲーム。

いや…
寧ろ日本だけで見れば
マイナスサム・ゲームとも言えます。

リスティング広告などのネット広告媒体も
以前のように出せば売れるという
時代ではなくなりました。

そんな”時”の中で生き抜くために
過去のデータだけ見て
「次はこれくらい頑張ろう」
という精神論では、
正直なところ、
突き抜けることは難しいと思います。

「戦術」領域ではなく「戦略」領域に重きを置く

戦略があなたを救う

ランチェスター戦略では、
「戦略」と「戦術」の配分を「2:1」にすることが
原則であると説いています。

もちろんリスティング広告やFacebook広告の出稿、
アカウントの改善、セールス手法といった
「戦術」の最適化も大事です。

しかし、
あなたが今、望む未来の延長線上に
いないのであれば、
「戦術」領域ではなく、
「戦略」領域に重きを置く

このように考え理想の未来を掴んで欲しいのです。

あなたの尊く限りある時間に対する
「リターン」を見極めることこそが大事。

しかし、言葉というのは少々厄介です。

人によって解釈が異なってしまうからです。

言葉の認識を合わせる上でも
戦略と戦術の定義をまず
整理しておきたいと思います。

戦略と戦術の定義

ウィキペディアは次のとおりです。

戦略は特定の目標達成のために、総合的な調整を通じて力と資源を効果的に運用する技術・理論である。

ただし戦略の定義は時代・地域・分野によってその意味は異なる。

戦略はもともと戦争術から戦術と併せて分化した概念であり、軍事学の専門用語であった。

軍事的な分野に限定した定義も一様ではないが、一般的に戦略は戦闘部隊が戦場で優位に立てるようにするための巨視的な策略であり、一連の戦闘における勝利を高次元で最大限に利用する術策である。

これに対応して戦術は戦闘において勝利を得るために部隊を運用する術である。

戦略の研究は途上にあり、また日本では戦後に企業の経営戦略のように使用されたり、経済戦略・外交戦略のように政策と同義語として使用されることも多く、また戦略的という形容詞が多用されることも重なって、その定義は拡散している。

もう少し噛み砕いて考えてみましょう。

たとえばあなたが旅行に出かけるとします。

あなたが目的地にたどり着けるのは、

目的と目標
「旅行先と通過駅」がある

戦略
「旅行先でのプランや宿泊施設、
移動手段や予定などを考え、決定」する

戦術
「決めたプランを実行」する

上記だからですよね。

もう少しビジネス的に
言い方を変えてみます。

「目的と目標」は、
「理念とミッション」

理念は、
あなたが持っている
価値基準から生まれた全体像、
「理想の世界観」

ミッションが、
その世界観を実現する上での内面、
「達成させる目的、目標地点」を指すもの。

戦略とは、
見えざるものであり
目的、目標達成を成し遂げるための
意思決定の領域

いかに、戦いを略せるか?
を考え決めること。

つまり、
「目的、目標を達成する上で
最良となる思考と決断」を指すものです。

戦術とは、
見えるものであり
目的、目標達成を成し遂げるための
手法手段の領域

いかに効率よく実務をこなせるか?

実際に行動を起こし結果を生むアクション。

つまり、
「戦略に沿って実行される行動手段」
を指すものです。

理念、ミッションという
理想の世界観と根源的な存在価値である使命

それらを達成するために
戦略と戦術はセットで関係しあっている
言わば入れ子の存在。

最高のシナリオを描き
結果を出すためには
三位一体でなくてはならず

目的・目標を達成するための
結果を決定づける要
それが「戦略」です。

突き抜けたければ「頑張る」のはあたりまえで
『何を(戦略)、どのように(戦術)』
頑張るのか? その【順番】と【比重】が大切。

人口が減少して行く中で、もっともっと
私たちは考え、決断し、行動しなければ
いけないと思うのです。

では、
ここからが入門の扉です。

ランチェスター戦略の理論と実務体系の
全体像を公開します。

【第3章】目次はこちらをクリック

ランチェスター戦略の理論と実務体系の全体像

ランチェスター戦略の全体像

上記がランチェスター戦略の全体像です。

ランチェスター戦略とは、
企業間の競争に勝ち残るための理論と
実務の体系がセットになったものです。

まず勝ち残るために基本の『原理原則』を
戦争における戦闘の勝ち負けを説いた
『ランチェスター法則』で説明します。

その原理原則を基に、
現代のビジネスでは、
どのような戦い方をしていけば良いのか?

ランチェスター戦略の入り口、
一丁目一番地とされる
『弱者の戦略、強者の戦略』を
解説していきます。

そして、ランチェスター戦略で
最も大事にしているシェアの考え方を
戦争の勝ち負けのルールである
『クープマンモデル
(ランチェスター戦略モデル式)』

そしてランチェスター戦略の真髄でもある
『シェアの科学』をご紹介していきます。

次にランチェスター戦略におけるゴール、
そしてそのゴールを目指す上での原則、
それらを『3つの結論』で解説します。

最後に、
ランチェスター戦略の『実務体系』である

  • 『市場参入戦略』
  • 『地域戦略』
  • 『シェアアップ戦略』
  • 『営業戦略』
上記戦略を1つずつ説明していきます。

原理原則の定義

ランチェスター戦略は、
ビジネス競争における原理原則を説くものです。

ちなみに『原理原則』という言葉。

とてもよく使われる言葉ですが、
あなたは違いを説明できるでしょうか。

実は、この原理と原則
これは厳密に言うと別の意味なのです。

その意味は以下のとおりです。

原理とは、
物事の根本とその仕組み

原則とは、
原理から導き出された
多くの場合に当てはまる決まりです。

なぜ、原理原則の説明をしたかと言うと、
それは、戦争という生死をかけた『戦い』や
僕たちが行っている企業と企業の『競争』には
『原理』があるからです。

そして、
どうしたら勝てるのか?
という『原則』が存在しているからです。

この
戦いや競争の『原理』と
勝ち方の『原則』を説いたのが
『ランチェスター法則』という原理原則です。

次の項では、過去に本当に行われていた
生死を賭けた真剣な戦いにおいて
「勝利(生)と敗北(死)は、
何をもって決定付けられるのか?」

どうすれば
「死ぬことなく勝利できるのか?」

そのコアに存在する原理原則
「ランチェスター法則」を見ていきましょう。

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ランチェスターの法則とは

ランチェスター戦略の基礎概念

ランチェスター戦略の基となった
ランチェスター法則。

これは「戦争の戦闘における勝ち負けのルール」です。

「ランチェスター」という人物が提唱したため
その名前が付いています。

正確には、
フレデリック・ウィリアム・ランチェスター氏。

この方はイギリス人です。

元々は自動車の開発に従事していた
エンジニアでした。

時は、第一次世界大戦…

今から百年前ほど前、
ライト兄弟が世界で初めて空を飛んだ
その数年後です。

F.W.ランチェスター氏は、
イギリスにおいて戦闘機の開発に
従事していました。

そして、
いつしか彼は戦闘機を開発するのみならず、
その開発したあとの戦闘機が戦争という実戦において
いかなる成果を上げているのか、
そこ興味を持ち、戦争のことを研究していきます。

たとえば、

  • 撃墜された戦闘機を調べて、
    どこに何発の弾が命中したのか?
  • その飛行機は撃墜されるまでに
    何発の弾丸を発射したのか?

そうした調査データを研究し、
撃墜との因果関係を解き明かそうとします。

そして、
『勝ち負けにはルール』がある
ということを見出しました。

それが、「ランチェスター法則」です。

バトル(戦闘)の勝ち負けのルール というわけです。

そして、
敵と味方がドンパチする、バトルの勝ち負けは、
ある「2つの要素で決定づけられる」
ということを導き出します。

勝ち負けの要素①『武器効率』

強さを決める要素-1「武器効率」

ランチェスター法則で結論付けられた勝ち負けの要素、
その1つ目は「武器」です。

戦となればお互いに武器を持って交戦します。

では、いくさの際、
「どっちの武器の方が優れているのか?」

「敵の武器と味方の武器の性能を
比べてみたらどうだろうか?」と
ランチェスター氏は、比率化してみたのです。

例えば、あなたが
「1分間に100発弾が出るマシンガン」
敵が
「1分間に50発の弾が出るマシンガン」としたとき、
あなたのマシンガンは
敵のマシンガンの「2倍の性能」がある
と、
比率化ができますよね。

これを「武器効率」としました。

勝ち負けの要素②『兵力数』

強さを決める要素-2「兵力数」

ランチェスター法則の勝ち負けの要素、
その2つ目は「兵力」です。

これは頭数です。

兵隊の数、軍団の数、戦闘機の数といった
物量のことを言います。

注意としては、兵の力と書くため、
スキルやモチベーション要素が
入っているようにも思えますが、
それは武器の方に入ります。

腕前、やる気というものは武器の問題で、
兵力はあくまで数量、物量です。

ランチェスター氏は、
このたった2つの要素で勝ち負けが
決定づけられるということ。

  • 相手にどれだけの損害が発生するのか?
  • こちらにどれだけの損害が発生するのか?

上記を簡単な数式で
計算できることを導き出しました。

ちなみに、この「ランチェスター法則」は
2つあります。

  • 『ランチェスター第一法則』
  • 『ランチェスター第二法則』

上記の2つです。

では、
なぜ、2つあるのでしょう?

それは戦い方によって
適用される法則が変わるからなのです。

まず第一法則から見ていきましょう。

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ランチェスター第一法則とは

ランチェスター第一法則の適用される戦闘

ランチェスター第一法則は、
下記の戦闘方法において適用される法則です。

  • 一騎討ち戦
  • 局地戦
  • 接近戦

ランチェスター第一法則が適用される戦闘方法

一騎討ち戦というのは、
「1対1で戦うこと」です。

局地戦は「狭いところで戦うこと」、
接近戦は「近づいて戦うこと」です。

1対1的な戦いや、
狭いところで敵と近づいて戦うということは、
言い換えれば「原始的ないくさ」と言えますよね。

こうした1対1が戦うような
原始的なバトルをするようなときは
第一法則が適用されます。

第一法則の結論

戦闘力=武器効率×兵力数

いくさにおいての『原理』とは
「戦闘力が強い方が勝つ」ということです。

”戦闘力”とは
1つの「軍隊の力」であり「強さ」のことです。

では、相手にどれだけの損害を
与えることができるのか?

それは先ほど言った、
「武器効率」と「兵力数」を
掛け合わせたもので決まります。

これが『原則』です。

計算式も実に単純です。

戦に勝ちたければ「戦闘力」を高めること。

戦闘力を上げるには
『すごい武器を持つ』か、
『たくさんの兵隊を用意する』こと。

もしくは
『両方あれば必ず勝てる』

これが第一法則の結論です。

ランチェスター第一法則の計算式

第一法則適用時の戦闘力は武器性能×兵力数の総和

Mo-M=E(No-N)

Mo:M軍の初期兵力数
M :M軍の残存数
No:N軍の初期兵力数
N :N軍の残存兵力数

E:Exchange Rate(交換比)
武器の性能(武器効率)

この式は、M軍とN軍の損害量は
Eという定数を介して均等になる
ということを表しています。

Eの武器性能×M or Nの兵力数=戦闘力

つまり、上記ということです。

戦闘力=武器性能×兵力数

ではこの式を実際の戦闘に
あてはめてみましょう。

仮にM軍とN軍の武器性能は
全く同じとします。

MとNが戦闘を繰り返し
どちらかが全滅するまで戦ったとすると
N軍が全滅しM軍の2名が生き残る
という結果になります。

結論、第一法則は、
「武器効率が等しい場合」
「初期兵力数」によって
「敵の損害量が決定される」
という法則です。

では、先ほどの式に代入してみましょう。

MoのM軍の初期兵力数が5
NoのN軍の初期兵力数が3

N=今回はN軍が全滅することが
明白なのでNを0とします。

E=両者の武器性能は
同じとして1とします。

計算式に代入
5-M=1×(3-0)
5−M=3−0
M=5−3
M=2よって
M軍が2人生き残る

上記のようになります。

では、N軍が勝つためには
どうすればよかったのでしょうか?

答えは、N軍の戦闘力を、
M軍の戦闘力以上に上げれば良いですね。

M軍の戦闘力
E×兵力数
1×5=5>1×3=3

戦闘力は、
「武器効率のE」と「兵力数」を
かけ合わせたものです。

M軍の武器効率が1なら
兵力数の5と掛け合わせて5となります。

したがって、
N軍の戦闘力を5以上にするためには、
ひとつは、兵力数を5人以上にすることで
「5:6」になりN軍が上回ることができます。

このように勝ち方の原則のひとつは
【相手を上回る兵力数で戦う方法】です。

【ランチェスター第一法則】相手を上回る武器で戦う場合の計算式

ランチェスター第一法則の計算式で
N軍が勝つには、もうひとつ方法があります。

それは「武器効率のE」を
高める方法です。

どのくらいあげれば良いかと言うと
互角ならば、両者の残存数は0
ですからこのような式になります。

Mo-M=E(No-N)
5=E×3
5/3=E 5÷3で約1.7になる
1.7=E

したがって、
『1.7倍以上の優秀な武器』を持つか
『1.7倍以上の能力』になるように訓練すれば良い

ということになります。

1×5=5>1.7×3=5.1
1×5=5>2×3=6

このような感じで、
もうひとつの勝ち方の原則は
ランチェスター第一法則【相手を上回る武器で戦う方法】です。

では、もう一度ランチェスターの導き出した
ランチェスター第一法則を見ていきましょう。

M0-M=E(N0-N)
M0:M軍の初期兵力数
M :M軍の残存数N0:N軍の初期兵力数
N :N軍の残存兵力数
E:Exchange Rate(交換比)
武器の性能(武器効率)

上記の式は、
M軍とN軍の損害量はEという定数を介して
均等になるということを表しています。

Eの武器性能×M or Nの兵力数=戦闘力

つまり、上記のようになる
ということでしたね。

戦闘力=武器性能×兵力数

結論、第一法則は
「武器効率のE」と「兵力数」のそれぞれ
勝敗を決める決定要因になる

このように結論づけられます。

ランチェスター第一法則の事例

第一法則の事例「織田信長/羽柴秀吉」

時は戦国時代、
織田信長は当時の最新兵器である「火縄銃」を
たくさん用意して連戦連勝していました。

歴史が得意ではない人でも彼の破天荒さは
何となくドラマや映画で描かれていて
ご存じの方も多いのではないでしょうか。

彼はビジネス面でも市場税を廃止したり
有能な人物でしたが、いくさにおいても
数々のイノベーションを起こしています。

特に有名なのが火縄銃を使い、
当時、最強とうたわれた
武田騎馬軍団を撃破した長篠の合戦です。

当時の主要武器は「刀」や「弓」、
その中で武田騎馬軍団は最強を誇りました。

そこで、信長は当時の武器の中で
最新の「鉄砲」という兵器を戦闘に持ち込み、
柵や地形を巧みに活用して挟み撃ちすることで
武田軍の騎馬隊を破ることに成功しました。

つまり、
信長は「武器効率」
最大に高めることで戦いを制したのです。

一方、その家臣であった
後の天下人、豊臣秀吉はというと…

■天正8年1580年6月
鳥取城の戦い(とっとりじょうのたたかい)
兵力:秀吉 20,000人
山名豊国 4,000人

■天正10年1582年4月-6月
備中高松城の戦い(びっちゅうたかまつじょうのたたかい)
兵力:秀吉方 30,000人
清水宗治 5,000人

■天正10年1582年6月
山崎の戦い(やまざきのたたかい)
兵力:秀吉方 40,000人
明智光秀 17,000人

■天正11年1583年4月
賤ヶ岳の戦い(しずがたけのたたかい)
兵力:秀吉 75,000人
佐久間盛政 15,000人

■天正12年1584年3-11月
小牧長久手の戦い(こまきながくてのたたかい)
兵力:秀吉 100,000人
徳川・北島連合軍 15,000〜16,000人

■天正18年1590年
小田原征伐(おだわらせいばつ)
兵力:秀吉 300,000人
北条氏政 56,000人

秀吉は信長の家臣のため
鉄砲も使っていましたが、
秀吉の戦の最大の特徴は
何と言っても「兵力数の多さ」です。

秀吉はどの戦も相手の兵力をよく調べて、
相手が4,000人ならこっちは20,000人。

相手が15,000人だったらこちらは100,000人、
というくらい、圧倒的に多くの兵力を調達して
連戦連勝していきました。

つまり、

「兵力数で戦を制した」のが
秀吉のいくさの特徴です。

想像すれば容易にイメージできますが、
あまりにも相手との兵力差が開くと
主力の直接決戦になっていかないのです。

僕たちも誰かと競争した時に、
圧倒的な差が付き過ぎていると
諦めたくなりますよね。

いくさでも同じように、主力決戦になる前に
「これはやっても勝ち目がないな」
ということで相手が諦めて
いくさが終わるという訳です。

いわゆる「戦わずして勝つ」です。

これが第一法則の事例です。

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ランチェスター第二法則とは

ランチェスター第二法則の適用される戦闘

ランチェスター第二法則は、
以下の戦闘方法において適用される法則です。

  • 確率戦
  • 広域戦
  • 遠隔戦

ランチェスター第二法則が適用される戦闘方法

確率戦という言葉は軍事用語なので
あまり聞き慣れない言葉ですが、
2つの要素でできています。

  • 集団戦
  • 確率兵器

集団戦は、
集団と集団で戦うバトルのことです。

もうひとつの確率兵器は、
同時に複数の敵を
攻撃できる兵器のことを指します。

たとえば、
マシンガンや機関銃が確率兵器です。

敵軍がワラワラと攻め込んできたら、
その周辺に対して
一気に集中砲火を浴びせます。

そのため誰に当たるかは
ハッキリとはわかりません。

ただ、「一定の確率で敵に損害を
与えることができます」

このような兵器のことを
確率兵器と言って、
集団が確率兵器でいくさをすることを
「確率戦」と呼びます。

この確率戦が繰り広げられるのは
「近代的な戦い」です。

近代戦と言えば
「広域戦」「遠隔戦」です。

非常に広い範囲において(広域)
敵と離れて撃ち合う(遠隔戦)のが
近現代戦の特徴です。

現代的な戦闘は、
海を越えて相手国に攻撃できる
超長距離射程の大陸間弾道ミサイルや、
ITネットワークを用いて
相手を混乱に陥れるサイバー攻撃など、
広域で遠隔攻撃できるものが
数多く存在しています。

こうした「非常に広い範囲」で
「敵と離れた距離」で戦う
近現代的な戦いの際に適用される
のが
ランチェスター第二法則です。

ランチェスター第二法則の結論

戦闘力=武器効率×兵力数の2乗

第二法則も
「戦闘力が高いものが勝つ」
ということが勝敗の原理です。

原則は、
「武器効率」と「兵力数」の掛け算
というところで変わりません。

しかし、
「ひとつだけ」違うところがあります。

それは、
兵力数が「2乗」される
ということです。

この微差とも言える「兵力数の2乗」が、
勝敗にとてつもない『影響』を生み出すことが
ランチェスター第二法則のキモとなります。

ランチェスター第二法則の計算式

第二法則適用時の戦闘力=武器性能×兵力数2乗の総和

刀や鉄砲のように
「1人を対象」に戦うのとは違い
機関銃に代表されるような近代的な兵器は
「一度に何人もの兵士を倒す」ことができます。

このような場合、
何か別の法則性があるのではないか?
とランチェスター氏は考えました。

第一法則のときと同じように
M軍とN軍の武器性能は同じで、
M軍が5人、N軍が3人で考えてみましょう。

第一法則のときは、
両者3名ずつが倒れ、
M軍が2名残りました。

しかし、今回のような
「複数の敵を同時に狙う機関銃の場合」
だと、どのようになるのでしょうか。

M軍もN軍も
1分間に30発打てる機関銃で戦ったとします。

そうすると、
M軍は「30×5」で「150」発、
発砲することができます。

N軍は、150発を3人で受ける訳ですから
「150÷3」で「50」発ずつ受けることになります。

そこで、もし50発に1発命中する
とするならば、N軍は全滅します。

一方、N軍からは「30×3」で「90」発、
発砲されたことになります。

武器性能が同じなら、
命中確率も同じですから、
50発に1発命中します。

すると「90÷50=1.8」
つまり、2人倒すことができません。

よって、N軍は全滅し、M軍は4人生存する
ということになります。

しかしなぜ、

N軍が全滅した時に
M軍が4名も残る

上記のような事態が起こってしまうのでしょうか?

第一法則と今回の第二法則の戦いには
何か『決定的な違い』がある
ということが、
何となくわかりますね。

では、攻撃量という観点で見てみましょう。

機関銃は一度に複数を狙うことができます。

同時に、一度に何人もの敵から
攻撃されることになります。

まず、M軍の1人あたりの
受ける攻撃量を考えてみましょう。

N軍1人がM軍全員に攻撃を放ちます。
そうすると、M軍1人は「5分の1」の確率を持った
攻撃力を受けることになります。

N軍は3人なので、
M軍の1人は
「5分の1」の攻撃力をもった砲撃を
「3人」から受けることになります。

つまり、

M軍が受ける攻撃量は
1/5×3=3/5
5分の3となる

対して、
N軍1人が受けるM軍の攻撃量は、
N軍が3人なので「3分の1」

ただし、M軍は5人なので、
「3分の1」の攻撃を5人から受けることになります。

したがって、

N軍が受ける攻撃量は
1/3×5=5/3
3分の5となる

ここでM軍とN軍が受けた攻撃量を
比にしてみると

M軍:N軍
3/5:5/3
9/15:25/15
9:25となる

これは「3の2乗」と「5の2乗」
という形で表せます。

第一法則の一騎打ちの法則では、
M軍とN軍の損害量の比が
3:5となりました。

M軍 : N軍
■第一法則だと…3:5
■第二法則だと…3の2乗(9):5の2乗(25)

しかし、上記のように第二法則の確率戦では、
兵力数の2乗という関係性になるのです。

これが第一法則との大きな違いです。

第一法則の戦いよりも、
格段に『兵力数が影響力を持つ』
ことになります。

それが、第二法則の公式です。

では、実際に数値を入れて見てみましょう。

第二法則の公式
Moの2乗-Mの2乗=E(Noの2乗-Nの2乗)
Mo=5人
No=3人
N=0人
E=1

数値を当てはめてみると…
5の2乗-Mの2乗=1(3の2乗-0の2乗)
25-Mの2乗=9
Mの2乗=25-9
M軍の戦闘力25-N軍の戦闘力9
Mの2乗=16
M=4 M軍が4名生き残る

なんと「M軍は4人残る」という結果で、
第一法則の時と同じ人数であるのにも関わらず
M軍がたった1名の損害で
N軍を全滅させることができます。

【第二法則】少数派が「武器効率」で勝負すると?

負けたN軍がM軍を上回るためには
どうすれば良いでしょうか?

ちなみに両軍の戦闘力比は、

M軍の戦闘力: N軍の戦闘力
1×5の2乗=25>1×3の2乗=9
つまり、
M軍の戦闘力:25
N軍の戦闘力:9
です。

考え方のひとつは
「兵力数を5人以上にする」こと。

もうひとつは
「武器効率のEを上げる」ということですね。

もし『武器効率』を高めて戦う場合
どれくらいあげれば良いかというと

互角の戦いならば
両軍の残存兵力数は0になりますので
以下のようになります。

Moの2乗-Mの2乗=E(Noの2乗-Nの2乗)
Moの2乗-0の2乗=E(Noの2乗-0の2乗)
Moの2乗=E×Noの2乗
5の2乗=E×3の2乗
E=5の2乗÷3の2乗
E=25÷9
E=2.8

3の2乗分の5の2乗=約2.8なので、
N軍は2.8倍以上の武器性能を持って
戦えば理論上勝てます。

しかし、相手の「2.8倍」というのは
実際、『非現実的な差』ではないでしょうか?

相手の3倍の武器や腕前となると…
中々難しいですよね。

相手の3倍差というと相当な差です。

M軍の戦闘力:N軍の戦闘力
1×5の2乗=25<3×3の2乗=27

こうして見てみると、
第一法則の時は、
1.7倍以上あれば勝ち目がありました

しかし第二法則になると、
2.8倍まで高めないと互角の戦いができない
ことがわかります。

【番外編】武器効率が違った者が戦う場合?

番外編 武器効率の違う場合の計算事例

ちなみに、性能の違う兵器を持った者同士で
戦った確率戦闘の場合どうなるでしょうか?

■M軍
兵力数 9人
機関銃の性能 100発/分

■N軍
兵力数 3人
機関銃の性能 800発/分

この両軍が戦った場合
どちらの軍が勝って、何人残るのでしょうか?

ステップ① 考え方
まず、どちらが勝つのか考えます。

M軍とN軍の武器効率Eの比は
「100:800」なので
『M1:N8』となります。

兵力比は「9の2乗:3の2乗」
⇒「81:9」なので
『9:1』となります。

1×9=9>8×1=8となり
M軍が勝つので、N=0となります。

ステップ② 数値を当てはめる
Mo=9
No=3
N=0
E=8
N軍がM軍の8倍の
武器性能ですからEは8となります

ステップ③ 公式で計算する
Moの2乗-Mの2乗=E(Noの2乗-Nの2乗)
9の2乗ーMの2乗=8(3の2乗ー0の2乗)
Mの2乗=9の2乗ー8×3の2乗
Mの2乗=81ー72
Mの2乗=9
M=3

ということは、武器に劣るM軍が勝って
3人残ることになります。

つまり、第二法則適用下においては、
武器効率を相手の『8倍』もってしても
兵力数『3倍』の相手に敗北する
という現実が
ここからもわかります。

ランチェスター第二法則から判明した決定的な要因

ランチェスター第二法則は第一法則と違い、
たとえ同じ『武器』を持って戦ったとしても
兵力数が戦闘力を倍増させるため、
『数の多いものが圧倒的に有利となる』
ということがわかります。

武器に関しては2乗倍されないため、
兵力数の劣る方が多少武器を良くしたところで
兵力数の多い方には太刀打ち困難
ということが第二法則の言わんとする事です。

逆に言えば

第二法則が適用される近現代戦では
「兵力数」というものが、
勝つための決定的要因になる

このように言えます。

第二法則に学ぶ『悲惨』な事例

第二次世界大戦の時、
日本から南に約6,000キロ離れた
赤道以南にあるソロモン諸島。

そのひとつの島を巡り争った、
ガダルカナル島の戦い
という戦闘があります。

■参考(太平洋戦争)ガダルカナル決戦

当時の日本軍は
それまで勝ち戦が続いていたこともあって
アメリカ軍のことを完全に舐めきっていました。

アメリカ軍は休日はダンスして
遊んでいるなど、勝手に想像し
「弱い」と決めつけていたのです。

それを裏付けるかのような
記述があります。

当時の日本兵が必ず目を通す
歩兵操典には
「精神力があれば少人数でも物質的な力にも勝る」
ということが書かれています。

更には当時の陸軍の兵力分布が
中国へ100万人だったのに対し
ガダルカナル島のある南太平洋には
たったの1万人という規模で戦っていたのです。

昭和17年8月7日午前4時。

ガダルカナル島を当初占拠していた日本軍に対して、
アメリカ軍の上陸作戦が決行されます。

当時ガダルカナルに居た日本軍はわずか2,200人
しかも、その殆どは飛行場建設の労働者であり、
実際の戦闘部隊は「400人」ほど。

対するアメリカ軍は「19,000人」を投入します。

結果は火を見るよりも明らかでした。

アメリカ軍の圧倒的な兵力数によって
1夜にして島は奪還されます。

その後、一木清直大佐率いる反撃は
もっと悲惨な結果です。

先述の勝手な思い込みと敵戦力の誤報によって
日本軍は相手を過小評価していたため、一木支隊の
約2,300名の内「916名」で戦闘に突入します。

途中、退却することを一部の将校より進言されますが、
一木大佐は引かず攻撃を続行。

アメリカ軍からの砲撃は熾烈を極め、
更に海兵隊の迂回攻撃と水陸戦車投入により
海岸に追い詰められた兵士は
完膚なきまでに殲滅されることになります。

なぜなら、
本戦闘における敵軍兵力数は
『10,900人』という大軍だったからです。

日本軍:916名 戦死:777名 戦傷:30名
米軍:10,900名 戦死:34名 戦傷:75名
引用:兵士たちの戦争 ガダルカナル白兵突撃

この時、日本軍は「916名中777名」
という大量の戦死者を出しました。

しかし、対するアメリカ軍は
「34名」の犠牲」でした。

その後、日本軍は幾度となく反撃を仕掛けますが、
まともな兵力動員が叶わず、
小出し小出しの兵士は、
毎回一網打尽にされてしまいます。

結果、
このガダルカナル島の戦いにおいて、
日本が送り込んだ兵士総数は32,400人ですが、
その内20,000人もの兵士が犠牲となり、
この戦いは日本が敗戦に突き進んでいく
大きなきっかけとなりました。

小規模ビジネスの闇雲な戦線拡大=“死”

ルール違反の罰

ガダルカナル島のような
闇雲な戦線拡大主義は、
私たちが『意識すべき』大切な教訓です。

ビジネスにおける企業間の戦いとは、
一部を除いて第二法則が適用される戦い。

つまり、下記のとおりです。

『商品のレベルが同等』で、
「自社の営業担当者が10人」
「競合の営業担当者が30人」なら、
『10対900の力関係で戦っている』
ということになります。

つまり、決して『10対30の戦いではない』
ということです。

その事実が、生死を賭けた殺し合いで
実証されているにも関わらず、
ビジネスの現場では、あたり前のように
戦線拡大が実行されています。

「あれもできます。これもできます」
「あの地域も、この地域も」...etc

こんな形で、
商品ラインナップを広げ、商圏を広げ
大手に有利なフィールドへと戦線を拡大していると
言えないでしょうか?

今の取り巻くビジネス環境を
見渡してみてください。

私たちは、正しい戦略を持たず、
過去の成功体験を過信して、
自分の自信と直感を武器に
無謀にも少ないリソースで突撃しています。

僕たちも過去と同じ過ちを
犯しているということです。

幸いなことにビジネスで負けても
命までは失いません。

しかし、
過去の歴史から学べば
僕たちはもっと賢く、上手く、
戦うことができるとは思いませんか?

ガダルカナル島の戦いは
決して馬鹿にすることのできない教訓です。

【第7章】目次はこちらをクリック

クープマンモデルとは

戦争に勝つ法則

先述の事例と同じくして、
第二次世界大戦の時。

裏側では戦闘の勝ち負けのルール
「ランチェスター法則」を
研究していた人物がいます。

その人物は、アメリカ軍の作戦研究班、
通称オペレーションズ・リサーチ・チーム
(ORチーム)に徴用された
コロンビア大学の数学教授
B.O.クープマンという人物です。

実際の戦争には、
複数の戦闘や補給など
複雑な要素が絡んできます。

彼らは戦争全体で勝つために
ランチェスター法則に着目して
「戦争を科学」し数学的に解明
しようとします。

そしてランチェスター法則を元に、
実践的な式を作り出したのです。

その法則を、戦争の勝ち負けのルール
『クープマンモデル(=ランチェスター戦略モデル式)
またはランチェスター戦略方程式』
と呼び、

戦略と戦術のバランスを結論づけた
『戦略2:戦術1の原則』や、
後のランチェスター戦略で重要な
『シェア理論』につながっていきます。

まずは戦争を科学する上で、
何が起因となるのか?
勝つために考えるべき3つの要因

そして
「戦略2:戦術1の原則」
について解説していきます。

戦争で勝利するための3つの要因

戦争の優勢劣敗を決める3つの要因とは?

彼は、戦争で勝つために
次の3つを組み合わせることが
重要だと解きました。

  • 要因1.戦闘の繰り返しの中で力関係は変動する
  • 要因2.常に新しい優れたモノが登場する
  • 要因3.[要因1]と[要因2]の輸送や生産能力

要因1.人員や物資の増減による力関係の変動

戦争では戦闘毎に
人員や物資を補給が必要です。

例えば100人戦死したら、
新たにする100名を輸送する必要がある。

というように
度重なる戦闘の集まりである戦争において
「人員や物資の増減」により
力関係が変わるということ。

これがひとつ目の要因です。

要因2.より優れたモノの登場

戦争は一時で終わりません。

時間の経過と共に兵器は常に開発、
そして生産され、今まで以上に
優れたものがつくられます。

その「より優れたものの登場」が
関係してくるというのが2つ目の要因です。

要因3.[要因1]と[要因2]の輸送や生産能力

最後に、
「1.人員や物資」や
「2.より優れたモノ」を

『生産する能力』が3つ目の要因

クープマンらは以上の3つを組み合わせることが
戦争に勝利するために重要だと見出したのです。

戦略2:戦術1の原則

  • 要因1.戦闘の繰り返しの中で力関係は変動する
  • 要因2.常に新しい優れたモノが登場する
  • 要因3.[要因1]と[要因2]の輸送や生産能力

これら3つの要因を踏まえた上で、
ランチェスター法則の公式
「戦闘力×武器効率×兵力数」の
武器効率Eを「戦術力」「戦略力」に分けました。

武器効率における「戦術力」と「戦略力」とは何か?

『戦術力』は、
敵からの攻撃に対しての防衛や、
戦いにおける「直接的な力」のことを指します。

一方、兵器を輸送する力や兵器を製造する
「間接的な力」を『戦略力』としました。

このようにクープマンらは
刻一刻と変化する戦況の中で、
実践的・現実的な要素を取り入れ、
いかにして『最小の損害で
最大の成果をあげることができるか?』

上記のゲームの理論を用いることで、
ランチェスター法則を
戦闘の法則」から「戦争の法則」へと
進化させていったのです。

クープマンモデルの公式

クープマンモデル
(ランチェスター戦略モデル式)が導き出した
「戦略2:戦術1の原則」を証明する公式は
以下のとおりです。

クープマンモデルの公式 参考文献:Wikipedia

非常に難解です。

全く覚える必要はないものですが
こうした公式を元に導き出されたものです。

とにかく、
細々とした難しい計算式はさておき

「A軍の総戦闘力」は
「戦術力」+「戦略力」で決まる

・戦術力を「3分の1」
・戦略力を「3分の2」になるよう配分すべき

上記ような証明です。

つまり、戦術力と戦略力の最適な配分は
戦術力:戦略力=1:2
であるべきだと示しています。

これがクープマンモデル
(ランチェスター戦略モデル式)で、
ランチェスターの法則を補って
より実践的な戦争の理論を導き出すことに成功。

第二次世界大戦では
日本の戦術一辺倒の戦い方とは
一線を画する戦略思考。

兵器開発や輸送、補給を考えた資源分配と
戦場での戦術行動をバランス良く行い、
アメリカ軍の勝利に貢献しました。

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戦争のルールをビジネス競争の領域へ応用した戦略論

戦争のルールからビジネス競争のルールへ

ここまでにお話してきた
戦闘、そして戦争全体の勝ち負けのルールから、
戦いの原理と、勝ち方の原則を導いて
これをビジネス、商売に応用して確立したのが
ランチェスター戦略だと冒頭述べました。

では、戦いの原理
つまり「戦いというものの根本と、
その仕組み」その答えは何でしょうか?

戦いの「根本」その答えは

まず「戦いの原理」の答えを簡単に言うと、
戦いというものは
「強い者が勝ち、弱いものが負ける」
ということですね。

とても当たり前のことに
聞こえるかもしれませんが、
ちゃんと考えてみて欲しいのです。

なぜなら、
いくさも戦争も商売の競争も、
およそ戦いや競争というものは
「大と小の戦い」です。

大きな国 VS 小さな国
大きな会社 VS 小さな会社

上記のような戦いになるわけです。

その時、同然ながら
大きいものが有利ですよね?

でも、
「大きい」から勝っているわけではありません。

「強い」から勝っているのです。

たとえ巨大であっても
武器が悪ければ負けることもあります。

だから「大きい=勝ちではない」
「強いから勝つ」
のです。

逆に「小さい」ものは残念ながら不利です。

でも、「小さいから負けた」わけではありません。

「弱いから負ける」のです。

だから、小さくても武器が強ければ
勝つ可能性は見出せるわけですね。

つまり
「強い者が勝ち、弱いものが負ける」
これが戦いというものの『根本』
です。

戦いの根本
『強いものが勝ち、弱いものが負ける』

次に「その仕組み」とは何でしょうか?

その答えは次の方程式から導くことができます。

戦いの「仕組み」その答えは

第一法則
戦闘力=武器効率×兵力数

第一法則型のビジネス
営業力=質的資源×量的資源

第二法則
戦闘力=武器効率×兵力数の二乗

第二法則型のビジネス
営業力=質的資源×量的資源の二乗

戦いの原理、
「強い者が勝ち、弱いものが負ける」

その「強い、弱い」をどう計測するのか?

それは「武器と兵力」です。

ビジネス的に言うと
「質と量」です。

言い換えるならば、
「質的経営資源と量的経営資源」

この掛け算の総和によって
勝ち負けが決定づけられる

この原則が、いくさやビジネスにおける
勝ち負けの『仕組み』ということです。

戦いの仕組み
『強さとは質と量の経営資源の総和』

「大と小」戦いの原則とは

では、戦いの原則、つまり
「原理から導き出された
多くの場合に当てはまる決まり」
とは何でしょうか?

先ほど、
いくさも商売も競争というのは
「大と小の戦い」と言いました。

そうしたときに
・大なるものは
いかに戦うのがよいのか?

・小なるものは
いかに戦えばよいのか?

このように考えて行きます。

「大が小」と戦う上での基本原則とは?

大なるものの基本原則はランチェスター第二法則

もちろん、「大きい方は有利」です。

いずれにせよ兵力が多いものが大です。

第一法則であろうが
第二法則であろうが、
量が多いことはどっちにしても有利です。

しかし、逆に言えば
「勝って当たり前の立場」と言ってもいいでしょう。

つまり、大は勝って当たり前という立場ですから、
より効率良く勝つことが求められる存在です。

すなわち、
生産性を高く、できるだけ少ない損害で、
相手に大きなダメージを与え
早く戦を決着させる、

あるいは、
ビジネスで言うと
「あの大企業のライバルとは、
まともにやっても勝ち目はないな。
直接対決を避けて避け住み分けを狙おう」

このように考えさせることができれば、
戦わずして勝つことができますね。

もし、そういう戦い方をしたければ、
第二法則が適用される戦い方を
したほうがいいですよね?

元々、多い兵力が
さらに2乗倍されるわけですから、
更に有利になって、
まず間違いなく勝てる流れに持ち込めます。

つまり、
【大なるものの基本原則は、
第二法則が適用される戦闘方法】

となるわけです。

「小が大」と戦う上での基本原則とは?

小なるものの基本原則はランチェスター第一法則

では、小なるもの。

小さい会社はどうすれば
勝ち目が見いだせるのか。

まず兵力が少ないわけですから、
第二法則の戦は極めて不利になることは
ガダルカナル島の事例からも明白です。

兵力「5:10」の戦いなら、
実質「5:100」という力関係で
戦うことになってしまいます。

すると、第一法則が適用する戦いを
選んだ方が良いということですので、
戦闘方法は、一騎打ち戦、局地戦、接近戦
といった戦い方を選ぶことが重要です。

では、現代における前述の戦闘方法とは
どういう戦い方を指すのでしょうか?

それは、
小規模チームが作戦行動する上で良く見る
「ゲリラ戦」というものです。

ゲリラ戦とは、
山や森に入って体を隠しながら戦うほことや、
市街地戦で障害物を活用する戦いのことです。

要するにゲリラというのは、
見通しの良い平地で戦わないということです。

障害物の何もない平地ということは、
第二法則の
「確率戦」「広域戦」「遠隔戦」が適用され、
相手の兵力数が二乗倍される中での
戦いを余儀なくされます。

そうすると勝ち目がありませんよね。

でも、山や森に入ってしまえば、
敵が大軍であってもその数が
固まって動けないですよね?

木と木の道なき道を分散して
行動することになります。

そうなると戦いの局面が、
局地戦になり、狭いところで
1対1的に戦うことになります。

ということは、
第一法則が適用される戦というのは、
一言で言うなら
「兵力数が活かせない戦い」です。

いくら5,000人居ても
1対1的な戦いになってしまうのです。

平地で「兵力数を最大限に活かす」
戦いをされることと
対照的な状況となります。

つまり、
小なる者の戦い方の基本原則は以下のとおり。

  • 1つ目が「ランチェスター
    第一法則が適用する戦いを選ぶ」こと。
  • 2つ目は「武器を磨く」ことです。

数に劣るアドバンテージを覆すために
武器をレベルアップさせなければ
小の勝ち目は薄いです。

モチベーションやスキルも含め
武器を磨く必要があります。

そして

  • 3つ目に
    「兵力を集中させる」ことです。

小はもともと兵力が少ない訳です。

たとえば10対100の兵力差で、
敵と同じように分散展開したら
どうなるでしょう?

ビジネス的に考えれば、
たとえば
10名の人員を10拠点に展開すれば
1拠点あたり1名です。

対する相手は
100名を10拠点ですから
単純に1拠点あたり10名配置できます。

そうすると
『自社1人:競合10人』で
その地域を取り合うことになりますよね。

これで勝つことができるでしょうか?

大手が広告投入しているところに、
「商品の値段をちょっぴり下げて勝負する」

そんな、値下げ事例に
心当たりはありませんか?

量的経営資源が劣っている小が
大と同じ土俵で正面対決を挑むことは
死ににいくようなものです。

すごくあたり前のことなのですが、
勝ち目のない戦いを多くの人が
やってしまっているのが現実です。

大事なこととして、
兵力が少ないものが
『広げれてしまえば薄まり弱まります』

ただ、逆に言えば 『狭めれば濃くなり強くできます』

全体で戦うのではなくて
「ここで勝つ!」という決勝ポイントを定め、
兵力を集中投入させるのです。

その部分だけでは「味方の兵力が敵より多い」
という状況を意図的に作れば、そこでは勝てる。

つまり、
「兵力を集中させる」ということです。

小が大に勝つ 3つの原則

小が大に勝つ、
3つの原則を述べました。

以下にまとめると、

  • 第1に「一騎打ち戦、局地戦、接近戦の
    ランチェスター第一法則が適用される戦い方をする」こと
  • 第2に「武器効率を上げる」こと
  • 第3に「兵力を集中させる」こと

このように戦いの原理と
勝ち方の原則を導いていき、
そこから「武器と兵力」を「質と量」に。

第一法則と第二法則の戦闘方法を
「部分的な戦い方」の第一法則
「全体的な戦い方」の第二法則
という形でビジネスに応用していきます。

そして、
「弱者」と「強者」とでは
『選ぶべき戦略が根本的に異なる』
ということが導き出されました。

その考え方を『弱者の戦略、強者の戦略』と言い
競争戦略のバイブル『ランチェスター戦略』へと
進化していったのです。

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弱者の戦略、強者の戦略

ランチェスター戦略の入口1丁目1番地「弱者の戦略 強者の戦略」

ここからが田岡氏が確立した「ランチェスター戦略」
その入口1丁目1番地『弱者の戦略、強者の戦略』です。

これまでの話は戦場の話でした。

そして、
一つひとつのバトルフィールドにおいて
「兵力」が少ないか多いかによって
戦略が根本的に異なる。
ということのお話をしました。

ここからはビジネスです。

ビジネスにおける戦場とは
一体何なのか?

それは「市場」ですよね。

僕達の戦場は
「市場=マーケット」ですね。

その中での小と大というものは、
企業規模ということに直接的に応用するというよりも、
相応しい考え方。

バトルフィールド単位の
力関係を見ていく指標として、
その市場における占有率

すなわち、「マーケットシェア」

この「マーケットシェア」の
多い・少ないというものが
「企業間競争の力関係」を示しているとしたのです。

『占有率1位の会社=強者』
『占有率2位以下の会社=弱者』

そこで上記の通り、
占有率1位と2位以下を定義付けして、
弱者は「弱者の戦略」を
強者は「強者の戦略」を
基本原則としましょう。

この考え方が、
ランチェスター戦略の入口です。

弱者の基本戦略は「差別化戦略」

弱者の基本戦略
・差別化戦略

弱者の基本戦略は差別化。

先ほど出てきた
武器の問題=質の問題です。

兵力が少ないのであれば武器の強化は必須。

ライバルよりも良い武器を持つということを、
ビジネス的に差別化と言い換えて考えます。

差別化の例

差別化の分野の例としては
以下の内容があります。

マーケティングの4P

  • Product:商品の差別化
  • Price:価格の差別化
  • Place:地域、販売経路の差別化
  • Promotion:売り方の差別化

事業ドメイン

  • 企業理念、存在定義の差別化

マーケット

  • 市場、ターゲット層の差別化

ひとつ事例をご紹介しましょう。

商品の意外な差別化事例

あなたのご自宅に
恐らくお持ちの炊飯器のお話。

「ふっくらご飯」美味しいですよね。

昨今では本当に美味しいごはんが
炊ける商品が次々と出てきました。

ちなみに、
美味しいごはんを炊く秘訣って
何だか知っていますか?

美味しいご飯の秘訣は
実は「水量にあり!」ということです。

そこで商品の差別化でご紹介したいのは
アイリスオーヤマの
「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器」です。

アイリスオーヤマ 銘柄量り炊きIHジャー炊飯器

商品名:RC-IA30 銘柄量り炊き IHジャー炊飯器 3合

差別化ポイントは3つあります。

差別化ポイント①
「水計量システム」

この炊飯器は、お米を投入して釜を戻すと、
その『米量にベスト水加減を
“炊飯器”が教えてくれる!』

というものです。

お米あるあるじゃないですが、
買ってきたお米を消費していると
最後が中途半端な量になってしまい、
入れる水量がアバウトになってしまう
というケースがあります。

しかし、
この炊飯器なら指定されるままに
水を注ぎ入れれば『最適で炊ける』ので、
これならまったく問題なしという訳です。

お米投入も水加減も目分量で
炊きあがりがまばらになってしまう僕には
とても優しい仕様です。

差別化ポイント②
「銘柄炊き(31銘柄炊き分け)」

お米屋さんにいくと、かなり多くの銘柄が
あることに気づきます。

人によって好みも違いますし、
品種にこだわりがある方も
いらっしゃるでしょう。

しかし、
炊飯器側がその品種の良さを
引き出す炊き方ができなければ
旨味も半減です。

ただ、
この「銘柄炊き機能」を使えば大丈夫!

なんと、
31銘柄に対応した水量プログラムにより、
『米の品種によって最適な水量を設定』
『新米は新米専用モードも搭載』

しかも、
「極厚の銅釜」で『鉄釜よりも発熱性が高く』
『大きな火力』で『ふっくらモチモチに
炊き上げることができる』のです。

差別化ポイント③
「1台2役!IHヒーター分離式」

この商品は、まさかの『分離式』です。

炊飯器の下の部分は「IHヒーター」として
使えるようになっています。

単身の方だと、この炊飯器さえあれば
ごはんだけでなく
『おかずまで調理できてしまう』便利さ!

『炒め物』も『揚げ物』も『鍋』だって
できてしまう優れものなのです。

炊飯器がIHヒーターにもなる!あたらしい形の調理器具

さて…
少しお腹が減ってきますね(笑)

ちなみに、
これは業界の外から見ないと
気づかないことなのかもしれませんが、
どの業界の方も知らず知らずの内に
『同じ価値に固執してしまう』
傾向があります。

たとえば
外壁塗装やリフォームとかで
検索してみてください。

商品(施工)のウリは、
「地元」「高品質」「適正価格」
全部こんな感じで、お客さんから見ると
同じに見えるようなことばかり謳(うた)っています。

炊飯器の場合はどうでしょう?

「お米を炊くもの」ですから
「お米の美味しさ」に着目するのは
各社あたりまえに取り組んでいるのですが、
現代の技術レベルは「甲乙つけがたい」
微差の戦いに突入していますよね?

ましてや商品を選ぶ顧客は
メーカーに比べればまったくの素人です。

アイリスオーヤマの炊飯器は
ただ元々の炊飯器として延長線上の価値、
差別化①と②だけではなく、
お客さんの『使用用途=差別化③』に着目し
炊飯器の常識を壊すことで成功させた

ということなのです。

商品の差別化ポイントは、
『業界の常識を疑うこと』

業界の延長線上で戦っている限り
弱者の勝機は薄くなります。

差別化は、
『顧客が競合と比較した時に、
相対的価値を感じてもらえなければ
意味がない』

ここがとても抜けやすい
大切なポイントですね。

弱者の5大戦法

弱者の5大戦法

  • 局地戦
  • 接近戦
  • 一騎討ち戦
  • 一点集中主義
  • 陽動戦

弱者の具体的な戦い方は
『第一法則』の戦闘方法で出てきた
「局地戦」「接近戦」「一騎討ち戦」や、
小が大に勝つ原則でも出てきた
「集中」させるということです。

(この概念はランチェスター戦略が
結論のひとつとしてあげている
大切な考え方で「一点集中主義」と呼びます)

それから小は山や森を使って
ゲリラ的に戦うべきという話をしましたが
「陽動戦」とはゲリラ的な戦いのことを指します。

以上の5大戦法を
いくさの概念から、ビジネスの概念に
置き換えて考えていきます。

弱者の戦い方①「局地戦」

接近戦を制し、ニッチ・イン・リッチに

弱者は経営リソースを
分散させて広げるのではなく、
限定された範囲内に投入して
戦う「局地戦」をするべきです。

局地戦には以下の2つがあります。

  • 局地戦の市場で戦う
  • 局地戦的な状況をつくりだす(細分化)

では、局地戦の市場で
戦う方法から見ていきましょう。

弱者は「うちもの市場」が狙い目

局地戦の市場というのは、
たとえば盆地や島などのように
ポツンと離れる歴史的にも独立したところで
外部との接触が少なく独自の発展をしている
「うちもの市場(点の市場)」のことを指します。

大阪と京都は対照的で分かりやすいですが、
大阪は昔から天下の台所として
人の出入りが多く商売の交流が盛んな
「そともの」と呼ばれる開放的な市場です。

当然、出入りしやすい開放的な市場なので
入り込みやすいのですが、
その分、参入する会社も多くひっくり返されやすいため
「シェアが分散し安定しない」という
特徴を持っています。

また、競争が激しく体力勝負になりますが
その分、成長性が高く市場規模も
大きい傾向があるため
強者向きの市場とも言えるのです。

対して盆地の京都は
山に囲まれており人の出入りが少ない
「うちもの」と呼ばれる閉鎖的な市場です。

そのため一度取り入ってしまえば、
その地域で仲間として強く認められ、
「シェアが集中し安定しやすい」
という特徴を持っています。

弱者は強者が入って来づらい
「うちもの」市場を狙うことを
ランチェスター戦略では推奨しています。

ただ「こうしたところが近くにない」
「商圏にない」という場合、局地戦ができないか?
というとそんなことはありません。

もし局地がないようであれば、
自分たちで「局地市場をつくってしまう方法」
があります。

意図的に「うちもの市場」をつくる方法

差別化の分類で「マーケティングの4P」
などをあげましたが、
局地戦ということは「狭い限定範囲」
で戦うということですから、
マーケティングの要素も
分解して考えれば「局地」的な市場が
できあがりますよね。

事例の「商品」はもちろん「地域」や「顧客」など、
差別化分野を参考に項目を細分化し、
その中で、自社が最も勝ちやすいところに
範囲を絞り経営リソースを投入すれば、
意図的に「局地」的な戦いを
つくり出すことができます。

「局地」をつくり出す「細分化の思考法」

顧客層の細分化

  • 規模別
  • 業種別・職業別
  • 性別
  • 年齢別
  • 所得階層別
規模別の細分化

単純に規模と言っても
業界によって異なってきますが、
たとえば、個人事業主に絞るとか
中小企業に的を絞るなどがこれにあたります。

業種別の細分化

業種によっては流通チャネル
(メーカーから消費者へと流通する経路)が
全く違ってくることが日本は多いです。

そうした会社間、担当者同士の
つながりを強化すれば、口コミ・紹介による効果も
期待ができます。

また業種というのは
消費者でいえば職業別となりますが、
更にブレイクダウン(分解)する必要があります。

職業別による細分化

たとえば家庭教師でも、
英語なのか、数学なのか、国語なのか
教師であるとかはもちろん、
英語でも、留学なのか、クラス制なのか、
マンツーマンなのか、オンライン教育なのか、
家庭教師なのか、
同じ職業といっても、提供の方法が変われば
顧客からの見え方(価値)が変わります。

『ここからもうひとつ細分化して
価値を高められないか?』

このような思考を持てば、
より顧客へアピールできる確率が高まります。

性別による細分化

性別の細分化は、たとえば
今まで男性用・女性用に
分類されていなかった商品であれば、
男女分けることが有効になることもあります。

今では普通にありますが、
化粧品を「男性用化粧品」として売り出したり、
一部の車両を「女性専用車両」とするなどです。

また単に女性用だからと終わるのではなく
可愛い系、キレイ系などで
分けることもできますよね。

女性関連は特に細分化が多岐に渡り
「男には追いつけないな」
という領域に達しています。

しかしこのような多様化の時代においては
今までの業界で区別がない
趣味・趣向に着目することで
新たな細分化のアイデアが生まれてきます。

年齢の細分化

年齢別の細分化はその世代がどのような
「ビリーフ(信念)」を植え付けられているのか?

ライフサイクルや政治、ビジネス状況の変化、
触れてきた常識に着目することで
「共感ポイント」の細分化ができます。

ただ、世代の意識は時間の経過で、
次の世代の意識に移行するのではなく、
世代の意識は
「そのまま変わらない傾向にある」ということを
頭の片隅に入れておきましょう。

その世代が持つ概念は
その世代ならではのタイミングで備わった概念が多く
時間の経過で忘れて
次の世代の意識になるというよりも
世代を超えてその意識を
持ち続けることが多々あります。

所得階層別の細分化

所得階層別とは
年収で細分化することです。

ただ、所得が高くとも
ローンによる支出が多い世帯や
世帯主の収入が少なくても
共稼ぎであるところもあります。

それに所得が高いからと言って
ものをたくさん買ったり、
高価なものを買うとは限りませんよね。

なので単に所得額のみでは
細分化の基準にはなりづらいです

局地的要素を掛け合わせて
差別化していくことが、よりリアルな顧客像、
いわゆる「ペルソナ」をつくりだすことができ、
強力で効果的な差別化が
実現されるということです。

局地戦のまとめ

局地戦についてまとめると、
以下の2つです。

  • ①局地戦の市場で戦う
  • ②局地戦状況を作り出す(細分化)

②の局地戦状況を作り出すこと、
細分化の例としては
地域や顧客層を分解する方法。

細分化する上でのポイントは、
対象顧客が自社を選ぶ理由が明確になるもの、
たとえば既に自社が1位のものといった
競合に比べて勝ちやすいところを
重点化することが基本となります。

ここまで「局地で戦うこと」の考え方について
話してきましたが、
「局地」以外にも
弱者が有利に展開する戦い方があります。

それは一騎打ちの戦いです。

弱者の戦い方②「一騎打ち戦 」

ランチェスター戦略用語「オンリー顧客」

一騎討ち戦はいくさだと1対1の戦いです。

ではビジネスだとどう考えれば良いか?

それは「オンリー顧客」を狙うことです。

オンリー顧客とは、下記の通りです。

  • 納入取引先が1社だけの顧客
  • 1つの商品だけを繰り返し使用している顧客

オンリー顧客は、
1社のみの情報に隔たっているため
情報量が少なく狙い目で、
案外不満を持っているものです。

なぜなら
営業担当社も自社だけだと安心して
コミュニケーションを疎かにしがちだからです。

また、人は「隣の芝生は青く見える」
ということわざにあるように
実は案外もろかったりします。

論理的に考えても
「取引先を他社と競わせること」は
理にかなった行為です。

弱者はオンリー顧客に狙いを定め、
明確な差別化をして競合へ一騎討ちを挑むことで
勝率が格段に高まります。

日本三大商人のひとつ、
豪商と呼ばれる商売のプロ「近江商人」は、
出店する時にわざと同業が1店あるところを
狙ったと言われています。

なぜなら同業が居るということは、
やらんとしている商売が
成り立っていることを実証し、
更に敵が1社しかいないので戦いやすい。
という理由だからです。

新規開拓は、
「1社独占の会社や顧客」を狙うこと新規参入は、
「1社独占の市場」を狙うこと

独占の市場は
「ここはもう駄目だから別の所へ…」
となりがちですが、
弱者にとって「オンリー顧客」は
『狙い目』であることを覚えておいてください。

弱者の戦い方③「接近戦 」

人を好きになる天才が接近戦を制する!

弱者は接近戦、つまり
「お客さんに近づく」ことが重要です。

顧客に寄り添い密着して
関係性を高めることで、
強者の入り込む余地をなくし
強固な関係性を築くのです。

具体的には
以下の3つの考え方があります。

接近戦のやり方

  • 直接販売や川下作戦で接近する
  • 地元から固める
  • スキンシップを武器する
1.直接販売や川下作戦で接近する

弱者は
直接販売比率を高めること
がセオリーです。

なぜなら、
卸や代理店を活用する間接販売は、
多くの場合「商品力、条件に優位性を付与できる」
強者の方が断然強いからです。

たとえば、自分が卸の立場なら
「No.1の商品」と「それ以外の商品」
どちらを売るかは明白ですよね。

一般的に、卸・商社は「売りやすいもの」を売ります。

だから、
弱者は「自らが売り切る力」が必要で、
そのためには自社が先頭を切って
直接販売し相手との関係値を
高めるような接近戦を展開することが重要なのです。

直接販売とは、
言葉の通りエンドユーザーに対して
ダイレクトに販売する形式です。

これは、ネットで販売ページをつくって
そこで消費者・見込み企業へ販売することも入ります。

とにかく自社が生み出した商品を
間に業者を挟むことなく、
利用する相手へ直接売ることを
直接販売と言います。

しかし、
元々、間接販売主体で販売活動している
間接販売メーカーは、
いきなり直販体制に移行するのは大変です。

なので現存の流通チャネルは残し、
エンドユーザーとの接点を作り出す訪問活動

つまり
末端顧客への訪問活動=川下作戦を展開することが
弱者の接近戦となります。

弱者が、卸や大口顧客にまわる活動は
基本不利です。

弱者の場合は特に、
重点顧客、重点地域を決めて
強者よりも一層綿密に
川下作戦を展開する必要があります。

2.地元から固める

接近戦をする上で、人が効率的に動くためにも
地域戦略は重要です。

基本は時間効率の良い地元から
固めるということです。

近ければより接近戦の頻度も高められます。

しかし、
弱者は離れたところに
力を入れようとしてしまいがちです。

その理由は、
あなたも経験があると思います。

私たちは、なぜか遠くの離れたところが
良さそうに見えるのです。

「隣の芝生は青く見える」
ということです。

弱者は人材も資本も
限られているわけですから、
地域と密着した経営が基本です。

もちろん、
そのためにはスキンシップも
大切な要素となってきます。

3.スキンシップを武器にする

「◯◯さんだから安心して買える。
これ、お願いするよ」

上記のような人間関係を
弱者はコツコツつくっていきましょう。

人間関係は弱者にとって
大きな武器となります。

どんなにオンラインシステムが発達しても
人間関係はビジネスに影響してきます。

ちなみに僕は人見知りが酷いので
基本的にスキンシップは苦手な部類ですが
やはりシビアにリターンを考え、
必要に応じて全力で取り組んでいます。

実際、大手ほどシステム化した
顧客対応を実施していますので
関係構築のレベルはそんなに高くないです。

社長が出ていけば
他社クライアントでも十中八九ひっくり返せます。

弱者はこうした穴を突くように
顧客との人間関係を高めるスキンシップを大切にすると
後の見返りが大きいので、
もし、あまりできていないのなら実践しましょう。

この辺りもたくさんテンプレートがあるのですが
特定の記念日に接触するだけでも十分効果はあります。

以上が弱者の戦法「接近戦」の考え方です。

弱者の戦い方④「一点集中主義 」

パワーを集中し一点突破せよ!

たとえ、やわらかい「水」であっても、
超高速でレーザービームのように
研ぎ澄まし集中させれば、
鉄でさえも両断するパワーが発揮されます。

弱者は持てる力を「一点」に投入する、
つまり『一点集中』する戦いを原則とします。

10拠点に10名を展開すれば
1拠点あたり1名です。

対する相手は
100名を10拠点ですから
単純に1拠点あたり10名配置できます。

そうすると『自社1人:競合10人』で
その地域を取り合うことになります。

これで勝つことができるでしょうか?

分散して広めると「薄まる」
という拠点と営業担当者のお話をしましたね。

ほとんどの場合、
第二法則となりますので
兵力数が少ない方は圧倒的に不利になります。

だから
弱者は集中させる必要があります。

そして集中するためには
「ここで勝つ」という
重点を決めることが先決です。

マーケティングの4P

  • Product:商品の差別化
  • Price:価格の差別化
  • Place:地域、販売経路の差別化
  • Promotion:売り方の差別化

事業ドメイン

  • 企業理念、存在定義の差別化

マーケット

  • 市場、ターゲット層の差別化

弱者の基本戦略である
「差別化」の例であるように、
全体で見るのではなく
ひとつひとつを分解して細分化した中で
その重点とするポイントを決め、
力をひとつに集中させることで
勝っていくということです。

弱者は全面展開ではなく
個別撃破していくのです。

当然ダラダラではなく
スピードをもってです。

戦いの原則の通り
力を分散させずに集中攻撃を行う
一点集中主義が弱者の戦い方です。

しかし、
いくら一点集中攻撃をかけても
敵に手の内を読まれてしまうと
無効化されてしまいます。

そこで、
敵に手の内が読まれないよう
「陽動戦」をとる方法もあります。

弱者の戦い方⑤「陽動戦」

真の目標を悟らせるな!

敵に手の内を読ませないために、
重点化していない地域や商品などを
重点化したように見せかけておいて、
敵の兵力を分散させたり、
敵の地元、地盤にアプローチをかけて
心理的プレッシャーを
かけたりすることもひとつの手です。

たとえば、
展示会や実演会といった催し物、
キャンペーンを重点化したところだけに
やるのではなく、
あえて囮的に相手の地盤や
注力区域で展開して注意を引く方法。

陽動戦用のDMや招待状を
競合や競合クライアントへ配ることで
陽動する方法などです。

こうした陽動作戦がうまくいけば、
こちらが広域戦に出ているように
見せかけたりできます。

よって重点化ポイントを悟らせず、
敵の兵力を分散させ、こちらの真の攻撃目標から
注意をそらし、勝率をグンと高められるのです。

弱者の5大戦法

  • 局地戦
  • 接近戦
  • 一騎討ち戦
  • 一点集中主義
  • 陽動戦

以上が『弱者の戦略』です。

強者の基本戦略は「ミート戦略」

「マーケットシェア」
この多い・少ないというものが
「企業間競争の力関係」を
示しているとしました。

それにおいて
占有率1位、2位以下。

このように応用して、
『占有率(シェア)1位の会社=強者』
『占有率(シェア)2位以下の会社=弱者』と
定義付け

弱者は「弱者の戦略」を、
強者は「強者の戦略」を基本原則としましょう。
というのがランチェスター戦略の入口です。

強者、当該市場において
占有率1位の会社を「強者」
と定義するということでしたね。

ではその「強者」は、
どのような戦略をとっていくべきなのでしょうか?

その答え、
強者の基本戦略は「ミート戦略」です。

「ミート」という言葉は、
ランチェスター戦略用語のため
聞きなれない言葉かもしれませんが、
カンタンに説明すると、
「マネをする」ということです。

マーケティングの概念で言うと
「同質化戦略」あるいは「模倣戦略」と
捉えていただくと良いでしょう。

しかし、
なぜ、強者が真似をすれば
勝てるのでしょうか?

その答えはランチェスター法則を
見てもらえればわかるはずです。

「真似をする」ということは
「同じ武器」で戦うことと同じですよね。

「同じ武器」であれば
「兵力の多いほうが勝つ」

これが戦いの原則です。

なので、
弱者が差別化しようとしたら
それをぶつけて封じ無効化するという意味で
「ミート戦略」と呼んで、
弱者のマネをする模倣戦略を
強者の基本戦略としているのです。

弱者の差異化を無力化する「ミート戦略」

弱者の差別化戦略が「攻撃的」とするなら、
強者のミート戦略は「守備的」な戦略です。

弱者にミートし続けることができれば、
弱者を選ぶ理由よりも
「信頼度の高い強者」

つまり、
「◯◯のNo.1」と「それ以外」が
同じ値段で並んでいれば
相対的に「No.1」が選ばれるため
「それ以外」に比べ「No.1」の方が
楽にシェアが増加していきます。

人の感覚として
「同じもの」なら
「トップの方」を選ぶのです。

弱者の差別化を封じ込める
ミートには次のような例があります。

  • 商品の差別化をミート
  • 流通の差別化をミート
  • 地域の差別化をミート
商品の差別化をミート

弱者が差別化した尖った商品コンセプトで
勝負を仕掛けて来た際に、
同様の類似品をぶつけることが
商品のミートとなります。

商品のミートに、
短期間に類似品を投入するという方法。

もうひとつに二番手商法というものがあります。

二番手商法は、
新規市場参入のリスクを弱者に負わせるやり方で、
弱者の差別化が市場に受け入れられるかどうかを見て、
需要ができたことを確認してから、
巨大な販売力を用いて市場の顧客を
一気に摘み取っていく手法です。

二番手商法で有名なのは
今のパナソニック(松下電器)です。

パナソニックは当時、
競合が新商品を発売した後、
その商品を分解・研究して、
安く沢山量産できる体制を準備、
市場の需要の高まりに乗じて参入することで
顧客を一気に獲得することから
「マネシタ電器」と
揶揄されることもあったそうです。

でも、高い技術力と販売力を
持っているのであれば、
この作戦は非常に有効ですよね。

変に独自開発して失敗するよりも、
確実に伸びそうなことが分かってから、
二番手で参入して一気に巻き返す方が
低リスクでリターンの高い方法です。

流通の差別化をミート

弱者の直接販売や川下作戦に対して
強者は物量で圧倒しましょう。

わかりやすい例で言えば
「営業担当者」を相手以上に投入して
兵力を2乗化させて弱者を無力化するのです。

広告でもそうです。

弱者が投入している広告に
ミートしてより高額な費用を投入することで
弱者を封じ込めます。

またランキングサイトなどのアフィリエイト広告
(ネット上のいわゆる販売代理店。

ブログやWebサイトなどで商品紹介を通じ
販売代行してもらう広告手法)でも
強者はミートできます。

持ち前の資本力を活かし好条件を提示することで、
自社広告を弱者よりも優先的に表示してもらいます。

このように露出を拡大することで
弱者の差別化を無効化することができます。

地域の差別化をミート

弱者の重点地域を発見したら、
弱者の投入リソース以上の
パワーを持ってミートします。

弱者が重点地域で強固な関係を築く前に
強者の力で差別化を無効化させるのです。

もちろん、
弱者の陽動戦という可能性もあります。

強者だからといって
力任せだけの戦いは危険です。

必ずしもすぐに資源投入するのではなく
二番手商法のように一度様子を見るなど、
俯瞰した視点で対応することが大切です。

以上がミート戦略の例です。

次は、強者の5大戦法は
どのようになるのかを解説します。

強者の5大戦法

強者の5大戦法

  • 広域戦
  • 遠隔戦
  • 確率戦
  • 総合主義
  • 誘導戦

強者の5大戦法も、
ランチェスター法則から応用されています。

第二法則の戦闘方法にあった
「広域戦」「遠隔戦」「確率戦」

そして弱者の一点集中主義、陽動戦と対照的な
「総合主義」「誘導戦」があります。

強者の戦い方①「広域戦」

兵力数を2乗倍にできる面の市場で戦え!

強者は、
強者の力を最も発揮できる状態
にすれば勝てる訳です。

なので
「局地戦」ではなく
「広域戦」で戦うことが重要です。

兵力を2乗倍にできる広域戦なら
強者の勝率は飛躍的に高まり、
より効率的に勝つことができます。

広域戦の代表的な方法は下記の2つです。

  • 広域戦的市場で戦う
  • オープンテリトリーや
    ロケーションテリトリーで戦う
広域戦的市場で戦う

広域戦的市場とは、
大都市など、他地域との交流が盛んで
人口や需要の多い地域のことで
「面の市場」とも呼びます。

この面の市場は、
横のつながりや近隣地域との重複性などから
確率戦的な広域市場です。

こうした確率的で広域な強者の知名度、
リソースが活きる市場を重視するのが
強者の戦い方として有効な方法となります。

また、地域内のカバー率
(対象となる地域にある取引店の内、
何%と取引しているかを表す指標)を
上げることが大切です。

その中でも影響力のある
大型取引店やオピニオンリーダーへ
強者の知名度を活かしてアプローチしたり、
商品に汎用性を持たせることで
死角を少なくして、弱者の入り込む隙間を減らす
広域戦的市場へのアプローチが
広域戦の戦い方となります。

オープンテリトリーやロケーションテリトリーで戦う

2つ目は広域的市場を「つくり出す」方法で
「オープンテリトリー」や
「ロケーションテリトリー」で戦う手法
です。

オープンテリトリーとは

同じ地域に複数の代理店を置き、
販売代理店同士が
同エリア内の顧客を取り合う
(共食い=カニバリゼーション)状況に
することです。

弱者は市場を細分化して
その一点に集中化しましたが、
強者はとくに重点エリアを定めず
どの販売会社でも、どの拠点でも
幅広く自由に戦うというやり方をします。

オープンテリトリーのメリット

  • 販売店同士の競争が
    促されることでシェアが伸びる
  • 死角地域をなくすことで
    弱者の入り込む余地を与えない
  • 該当地域の情報が
    様々な角度で入手できるため、
    需要、シェア、競合の動向が
    より正確に掴むことができる

主に上記の3つがあります。

ロケーションテリトリー

また、主要地区だけを決めて、
そのほかの地域をオープンテリトリーにする方法を
「ロケーションテリトリー」と言います。

ロケーションテリトリーのメリットも
オープンテリトリーと同様で、
代理店同士、拠点同士、
更には営業担当者同士が競争する状況を
意図的につくることになります。

その結果、死角地域が少なくなり、
弱者に付け入られる隙を与えないということや、
情報の充実によって
弱者の局地戦を見逃さない
などのメリットが生まれます。

簡単に言えば
ロケーションテリトリーは、
オープンテリトリーをマイルドにした方法
と言えるでしょう。

ちなみにテリトリーにはもうひとつあって
「クローズドテリトリー」
というものもあります。

クローズドテリトリー

クローズドテリトリーは
一般的な地域担当制のことです。

渋谷区はA営業所、新宿区はB営業所といった
カニバリが起こらないような区分け方法です。

ちなみにこのクローズドテリトリーは
弱者のテリトリーなので、
強者はオープンテリトリーかロケーションテリトリーを
活用したほうが良いです。

以上、参考までに
クローズドテリトリーをご紹介しました。

強者の戦い方②「遠隔戦」

間接販売を強化。販売効率を最大化せよ!

弱者の接近戦に対して、
強者は遠隔戦をもって販売力を倍増して戦います。

その代表的な方法は下記の2つです。

  • 卸をフルに活用する
  • 広告宣伝を強化する
卸をフルに活用する

強者のミート戦略「流通のミート」の項で
少し触れましたが、
強者はメーカーの場合、
卸や代理店といった間接業者を
フルに活用することで戦力を倍々に
増やすことができます。

なぜなら、
「卸は売りやすいものを売るから」ですね。

となると、
局面でトップである強者は1番売りやすいわけです。

つまり、
自社商材を少しでも多くの卸、代理店に
販売してもらうことで
必然的に販売効率がドンドン強化され
シェアを増やしていくことが可能になる
ということです。

広告宣伝を強化する

ミート戦略のところで触れましたが、
広告宣伝は強者の方が有利です。

武器が同じであれば兵力数がものを言うのは
広告で顕著に現れます。

たとえば
オンラインのリスティング広告だろうと
オフラインのDMだろうと、
同じようなコンセプト、
金額の商品で強者が弱者にミートして
広告費を積まれると
弱者は非常に厳しい状態に陥ります。
(その状況を脱却する方法もありますが)

なので、
強者は弱者が継続して広告費を
つぎ込んでいるところ※にミートすることで
弱者の集客を封じ込むことができます。
※広告を継続して出向している場所は
効果的であるケースが多いため。

強者の戦い方③「確率戦」

比較に持ち込み実績、知名度で勝負せよ!

確率戦は弱者の一騎討ちに対する戦い方で、
1対1の戦いをとらせないように弱者の商圏を広げ
確率戦に引き込んで戦う方法です。

商圏を広げれば広げるほど、
その区域に該当するライバルが増え
競合レベルの高いフィールドになる、
つまり確率的な戦いが
繰り広げられる確率戦の市場
ということになります。

なぜ、確率的な戦いになるのか?というと、
比較対象の会社が多いということは、
顧客が選択を迷うことになりますよね。

そうやって人が迷った時、
判断基準となりやすいのが
「実績や歴史、知名度」です。

つまり、
比較対象が増えれば、
結果として1位の選ばれる確率が上がるため、
強者は確率戦が有効なのです。

また、そうした確率戦の市場であれば、
弱者同士の争いによって
自動的に競合を消耗させるができる
という副次的なメリットもあります。

確率戦の方法を整理すると以下のとおりです。

  • 製品、商品ラインナップの充実
  • 代理店同士を競争させる
  • 自社拠点、店舗同士競争させる

業種によって違いはありますが
主に上記のような方法があります。

製品、商品ラインナップの充実

メーカーの場合は
製品ラインを拡大し、
製品を増やし、
製品同士をバッティングさせ
隙間を埋めることによって
弱者の食い込む余地をなくします。

これは弱者に対して
ミートを繰り返していてもできることですが、
先手を打って製品ラインを
拡大することもひとつの方法です。

卸売業や小売業やサービス業の場合は、
商品の隙間を無くすように
商品ラインナップを充実させることで
弱者のつけ入るスキを塞ぎます。

代理店同士を競争させる

これは広域戦であげた方法です。

広域で確率的な市場をつくり出す
オープンテリトリーや
ロケーションテリトリーを活用して
代理店同士を競争させることによって
広域戦による戦いを有利に導きます。

また、
同時に代理店の数を増やしたり、
代理店の販売数値に応じた優遇措置や
代理店の販売教育を講じることで
確率戦としての効果が更に高まります。

自社拠点、店舗同士競争させる

更にテリトリー内の自社拠点、
店舗同士も競争させます。

強者は地域内でメーカー、
卸、小売店を問わず、
拠点数を増加させることが有効です。

たとえば
競合店が2拠点あるなら、
強者は5拠点という形で、
拠点数を増やし、兵力を倍増して攻める
といったやり方などです。

以上が確率戦の方法です。

強者の戦い方④「総合主義」

圧倒的な物量で制す!

総合主義は
一点集中主義に対する戦い方です。

弱者が重点地域を集中攻撃してきた場合、
圧倒的な「量」をもって弱者の集中に対抗し、
尚且つ、
総合力を活かして他の地域に対しても
幅広い攻撃を加えます。

弱者の集中以上の物量をぶつけることで、
重点地域における弱者の戦いをやりにくくし、
他を攻めることによって、弱者を別地域に誘い出し、
力を分散させる効果があります。

総合戦での考え方としては、
戦力を「商品力」と「販売力」に分けて
考えるとわかりやすいです。

商品力

商品力とは、

  • 品質:商品自体が持つ価値評価
  • 性能:使用目的における各種能力評価
  • 価格:値決め
  • 品揃え:種類、多様性、ラインナップ
  • 商品イメージ:第六感に至るまでの
    感覚デザイン、UX(ユーザー・エクスペリエンス)

上記のようになります。

カンタンいうなら「商品の価値レベル」です。

見込み客(お金を払ってでも解決したい人)にとって、
「どれだけ価値を感じられるか?」
そのまとまりが「商品力」です。

大事なのは、
すべて「対象の見込み客にとっての価値」であって、
販売する側がどう「価値を感じるか?」は
関係ないということです。

販売力

販売力とは、

  • セールス力:営業担当者の人数、スキル
  • アフターサービス:顧客対応の量と質
  • 広告宣伝:オンライン、
    オフラインの広告出稿、メディア露出の量と質
  • 販売面積:営業が行える場所や
    広告が出向できる場所の量と質
  • 販売時間:営業が行える時間の量と質
  • 企業イメージ:第六感に至るまでの
    感覚デザイン、UX(ユーザー・エクスペリエンス)

上記のようになります。

カンタンにいうなら「商品を売る力」です。

「商品力」を100としたとき、
きっちり100の商品力を、
見込み客(お金を払ってでも解決したい人)へ伝え、
LTV(顧客生涯価値=1人あたりの利益)を
最大化させるためのパワーのことです。

ちなみに、余談ですが、
商品力を超えて伝えることは「詐欺」です。

だから100のものを
120や150で伝えてはいけません。

僕たちが伝えるべきは、
100という正しい価値を
100きっちりと伝えきることまでです。

また、営業担当者のスキルとは
営業トークや手法だけではありません。
企画力や改善力も含まれます。

更に商品力も販売力も、
「経営者」の力が影響することは
言うまでもありませんね。

経営者が戦略を持たなければ
商品力も販売力も
最大化させることはできません。

だから僕達は学び実践することが大事です。

以上が、総合主義です。

強者は商品力と販売力という
2つ戦力をフル活用して
相乗効果を狙っていきましょう。

強者の戦い方⑤「誘導戦」

誘導作戦を決行せよ!

世の中には「うまくいったものを真似ろ」
という教訓があります。

しかし、
それは時と場合によります。

ここまで読まれた方ならばわかりますよね?

強者と同じ土俵で、
弱者が「真似」て戦おうものなら
数に秀でた強者には勝てません。

ですが、人は良いと聞くと
真似したくなるものです。

実際、業界が横並びの価値訴求を
しているのはその現れでもあり、
一部が小銭を稼いでいることも事実です。

しかし、その中で
1番おいしい思いをしているのは
一体誰でしょう?

最も儲けているのは
ダントツで業界の強者です。

つまり、
ありがちな情緒的発想を利用して、
弱者の真似を誘い、差別化させないといった
「誘導作戦」が有効ということです。

たとえば、弱者の狙うべき
「点の市場(島や盆地といった
独立性の高い狭域市場)」へあえて重点を置き、
「面の市場(大都市や平野部などの
人口や需要の多い確率戦的で広域な地域)」へ
誘い込み広域戦、確率戦に持ち込むといった方法。

他にも弱者の新製品情報をキャッチしたら
先手を打って類似商品を発表して
弱者の差別化を無効化し
模倣させる形に誘導するといった方法です。

もちろん、
相手をうまく誘導するには
相手の出方や作戦を
知って置かなければなりません。

ということは、
競合の商品調査はもちろん、
販売手法や広告、利用顧客が
どう感じているのか?

こうした情報収集はあたりまえに必要です。

情報収集が最新で正確であればあるほど、
誘導戦の成功確率が上がるからです。

以上が誘導戦の内容です。

【まとめ】弱者の戦略、強者の戦略

ここまで弱者の戦略と
強者の戦略を見ていただきましたが、
まとめると以下のとおりです。

弱者の戦略は、
強者の力に打ち勝つ「攻め」の戦略。

強者の戦略は、
弱者の戦略に対する「守り」の戦略。

  • 弱者の戦略 ⇔ 強者の戦略
  • 差別化戦略 ⇔ ミート戦略
  • 局地戦 ⇔ 広域戦
  • 一騎討ち ⇔ 確率戦
  • 接近戦 ⇔ 遠隔戦
  • 一点集中主義 ⇔ 総合主義
  • 陽動戦 ⇔ 誘導戦

小が大に勝つ原則の通り、
数で劣る弱者は、
第一法則が適用される限定的な範囲に
戦力を集中し武器効率を高め、
勝ちやすいところを狙う
「攻め」の戦略で勝機を狙う。

強者は持ち前の物量を活かして
隙間を埋め、弱者に対して
付け入る隙を与えない。

つまり、
弱者の戦略をとらせない「守り」の戦略が、
強者の基本戦略になるということです。

注意したいのは、
ある部分では強者でも、
ある部分では弱者ということがあります。

なので細分化したそれぞれで
自社の立場をしっかり見分け、
弱者の戦略と強者の戦略を
使い分けていく必要があります。

大事なことは、
弱者なのに強者の戦略をとってはいけない
ということ。

なぜなら、
弱者と強者では戦略が180度異なり、
弱者が強者の戦いをすれば、
兵力数の2乗化によって更に差が開くため
弱者はひとたまりもない
からです。

立場を判断するには、
正確な情報を収集し
それらの情報を科学的に分析して
判断をしていくということが大切です

そして、過酷な販売競争を賢く生き抜くためには、
これら正確な情報と科学的な判断こそが
大切な要素になるのではないでしょうか?

以上、弱者の戦略と
強者の戦略を見ていただきました。

繰り返しになりますが
自社が弱者なのか強者なのか?
これを正確に見極めることが重要です。

では、見極めるためには
具体的に何を見れば良いのか覚えていますか?

ランチェスター戦略では、
『競合局面ごとのシェア』
で判断するんでしたね。

競合局面における
占有率1位の会社を強者、
占有率2位以下の会社を弱者とします。

要は『企業規模ではない』ということです。

ここが大事な概念で、
会社が大きくても、
その市場における占有率が小さい場合があります。

その時は弱者の立場になるので、
弱者の戦略で戦わなければならない
ということです。

2位=弱者

弱者は強者の真似をしてはいけない。

例えばホンダ。

ホンダという会社は
日本を代表する規模も大きい会社ですね。

オートバイでは世界最大のメーカーです。

世界のオートバイ市場では
ホンダは強者であるといえます。

しかし、
日本の自動車市場においていえば、
日産とホンダは2位、3位争いを
ずっと続けています。

つまり2位、3位を争っている状況

ですから、
その局所においてはホンダは弱者になります。

弱者なので、
トップのトヨタに差別化をしていかないといけない、
という立場です。

実際「CES 2017」で公開されたAI技術
「感情エンジン」を積む自動運転EVコミューターの
コンセプトカー「NeuV(ニューヴィー)」なんかは
とってもユニークです。

※「感情エンジン」は、ソフトバンクグループの
cocoro SB株式会社が開発したAI技術で、
機械自らの感情を擬似的に生成する機能を
ホンダと一緒に研究しているものです。

これまでにもホンダは
1位のトヨタを意識して
差別化コンセプトをもった
車づくりをされていることが伺えます。

つまり、弱者と強者というのは
会社の大きさではなく
競合局面ごとの占有率で変わるので、
局面ごとに弱者か強者かということを判定して、
弱者であれば弱者、強者であれば強者の
戦略をとるべきである、
このようにランチェスター戦略では言っています。

その理由は、
先述した通り、弱者と強者の戦略は
真逆で根本的に異なりますよね。

180度違うわけですから、
弱者が強者の真似をしたらうまくいかない、
ということです。

『2位は弱者』ということが
ランチェスター戦略の重要なポイントで、
2位というのは、
オリンピックで言えば銀メダルですし、
日本人の気質的にも2番手というと
立派な感じがするものです。

しかし、
ランチェスターでいう弱者、強者は、
会社の格式、伝統、プライド、
こうしたものとは関係ない話で、
感情的なこと等とは切り離して考えることが大切です。

あくまで占有率が2位以下であれば、
すべて弱者であるという認識で
戦わなければこういうことになりやすい
というのが、次の例です。

2位の「弱者」が「強者の戦略」を使った事例

弱者である日産がトヨタにミート戦略を実行した事例

上記は、少し前のデータですが
国内の普通乗用車の占有率の推移です。

2位の日産が、1位のトヨタへミートを仕掛ける。

つまり弱者が強者の真似をすると
こういう結果になってしまう
そんな典型的な例を表しています。

当時、2位の日産は
頭上の敵である1位のトヨタに対して
差別化という張り合い方ならまだしも、
弱者の立場で同質化競争を
仕掛けてしまいました。

たとえば、
トヨタが行っている
フルライン戦略(低価格の小型車から
高級車まで顧客ニーズに合わせた
隙間のない商品ラインナップ)と同じようなことを
日産はやり続けます。

トヨタが新しいクルマを発表したら、
似たようなクルマを日産もつくって
売り出すといった形です。

そうした模倣を繰り返した結果、
3位のホンダに漁夫の利で
追い抜かれてしまいました。

頭上の敵へミートすることの危険性

ランチェスター戦略の結論のひとつである
【「足下の敵」攻撃の原則】を踏まえると
頭上の敵に関しては差別化を実施。

攻撃目標は足下の敵である、
競合局面の1ランク下の相手を叩いて、
地位を安定しつつシェアUPしていくのが正しいやり方

ということになります。

しかし、先述のトヨタと日産ケースで言えば
日産は2位の弱者なので、
本来1位のトヨタに対しては
差別化をしないといけないわけです。

もっと言えば1ランク下の
ホンダをミートして
地位を守らないといけなかったということですね。

これは日産の場合に限らず、
プライドや規模の大きいことの多い
業界の2番手が陥りやすい内容で、
本来差別化しなければならない
頭上の敵に対してミートするというのは
非常に危険であるということです。

武器が同じになれば兵力の多いものが勝ち、
兵力の乏しいものが負けるという原則
をお話しいたしましたが、
その通りの結果が
起こってしまうということの事例でした。

【第10章】目次はこちらをクリック

ランチェスター戦略のシェア理論

「差別化せよ!
集中することが大事である」

こうしたことは、
ほかのマーケティング理論や
経営戦略の理論でも
聞いたことがあると思います。

ですが、それらと全く異なって
ランチェスター戦略にしかないものが実はあります。

そのランチェスター戦略が持つ独自性のひとつが
『占有率(シェア)』です。

この占有率(シェア)というものを
ランチェスター戦略では科学的に研究していて、
占有率は何パーセント取れば良いのか?
そのパーセントだと、どういう状況なのか。

数値ごとにきちっと定義をして
占有率の目標値というものを定めます。

そしてこの後、
占有率を上げていくためには
「何をすれば良いか?」

地域戦略や流通戦略、
営業戦略といった実務体系があるというところが、
ほかの理論との大きな差別化ポイント
になっています。

そのためランチェスター戦略は、
別名「占有率の科学」とも呼ばれています。

この「占有率の科学」は、
1962年、田岡氏がパートナーであった
社会統計学者の斧田太公望氏と
クープマンモデル
(ランチェスター戦略モデル式)を
解析して『市場シェア3大目標値
(73.9%、41.7%、26.1%)』を導き出し

その後、
田岡氏はこの3つの目標値を組み合わせて
『市場シェア“7つのシンボル数値”
(3大目標値と19.3%、10.9%、
6.8%、2.8%の合計7つ)』
として確立したものです。

次は「占有率の科学」でまとめられた
『市場シェア“7つのシンボル数値”』を
解説していきます。

市場シェア“7つのシンボル数値”

ランチェスター戦略「市場シェア 7つのシンボル数値」

この表にある上の3つの数値

  • 上限目標値:73.9%
  • 安定目標値:41.7%
  • 下限目標値:26.1%

上記は、クープマンモデル
(ランチェスター戦略モデル式)から
導き出した『市場シェア3大目標値』と
呼ばれるものです。

  • 上位目標値:19.3%
  • 影響目標値:10.9%
  • 存在目標値:6.8%
  • 拠点目標値:2.8%

残りの4つの数字は、
最初の3種類だけだと少し大きい数字のため、
26.1%に至るまでの
マイルストーン(中間目標値)
として後に実務の要請に応えた形でできたものです。

これらの3大目標値と後述の
マイルストーン4種類を合わせた7つの目標値のことを
『市場シェア“7つのシンボル数値”』
とランチェスター戦略で読んでおり、
シェアアップの目標数値として
大切な項目として扱っています。

零細企業はシェアなんてないのでは?

中には「中小企業にシェアなんてない」
このように思ってしまう方もいるかもしれませんが、
実は会社の規模に関わらず
シェアというものは見ていくことができます。

ランチェスター戦略は
「市場を細分化」してシェアを把握、
その競合局面ごとに
強者なのか?弱者なのか?を判別して
戦い方を決める。

上記の考え方を指導原理としています。

たとえば、
商品ごと、販売経路ごと、
顧客層ごと、全国ではなく県庁所在地、
もっと言えば一区画地域といった、
市場や顧客を細分化して見れば、
自社がどの程度シェアを持っているかは
それぞれで判断していくことができます。

またシェアの計測方法も
ランチェスター戦略の実務体系で
お話しますので安心してください

まずここで理解してほしいことは、
たとえ零細企業であっても
シェアは存在しているということ。

そして、局面ごとにシェアを見て、
この局面は、強者の戦略
この局面は、弱者の戦略
と言う形で戦略を決め、
局面ごとのシェアを確保していくことで
最終的にNo.1になる方法。

これがランチェスター戦略と
その実務体系の流れとなっています。

7つのシンボル数値の「使用手順」

  • ステップ①
    現在地を確認
    (業界全体、市場単位、商品単位
    チャネル別、顧客層単位、地域別
    BtoBなら顧客内シェアなど)
  • ステップ②
    それぞれの現在地の数値から
    短期、中期、長期のシェア目標を
    7つの数値を使って定める
  • ステップ③
    実践に落とし込む

この3ステップです。

最初に、自社のシェアは
業界全体でどうなっているのか?
市場単位では?地域単位では?と見ていきます。

たとえば、
ある局面でシェア15パーセントだったとすると
19.3と10.9の中間に位置している
ことが視覚化され
「なるほど、今うちはここか」と
現在地を確認できますね。

そうしたら次は
短期、中期、長期のシェアアップ目標を
それぞれで立てる。

その際に7つの目標数値を
基準値として使って頂く形です。

短期的には19.3、
中期的には26.1、そして
将来的には41.7、
販売目標のゴールは73.9

上記のような形で使っていきます。

いかがでしょう?

中小企業であっても
戦略的な販売活動が
できそうな気がしませんか?

これが7つの目標値の使い方です。

では、具体的な営業戦略は
実務体系で解説するとして、
次に7つのシンボル数値が
「どういう意味になっているのか?」
というところをお話します。

上限目標値:73.9%

上限目標値73.9%

これは簡単に言うと販売競争のゴール地点
「No.1」となる目標数値だと思ってください。

73.9%のシェアを確保しているということは、
残りの競合シェアを全部含めても
26.1%にしかならず
『約3倍』の差をつけることができるため
No.1が確定します。

※この3倍という数値の重要性は
この後『射程距離理論(3:1の法則)』
で解説します。

つまり、
73.9%のシェアを獲得できれば
その局面において勝負が決するため、
絶対的な1人勝ちの目標として
位置づけられた目標値です。

なぜ、100%奪わないのか?

実は、『100%独占』は
必ずしも良いとは限りません。

その理由は下記の3つです。

  • 成長性
  • 収益性
  • 安全性
デメリット①「成長性」

シェア100%は
1社独占の無競争状態です。

競争がないなら
その市場は広がりませんよね。

ライバルが居て競争があるからこそ
新しいイノベーションや広告プロモーション、
営業が行われ市場需要が活性化し
結果的に市場が拡大します。

つまり
市場を1社独占の100%シェアでいるということは、
需要が喚起されず市場が縮小してしまうため、
成長性の面で良いとは限らないということです。

デメリット②「収益性」

「100%シェアの方が儲かるでしょ」
と思われる方もいると思います。

ただよく考えてみてください。

その市場の7割も取れば、
優良顧客のほとんどを
獲得し尽くしている
のではないでしょうか?

販売活動にも資源が必要です。

お金と人と時間をかけて
残りのシェア獲得に注力することは
リターンに見合う行為かどうかを考えると疑問です。

需要規模が小さな顧客、遠方で移動効率が悪い顧客、
そして顧客の中には気難しい人や
自社の価値観を否定する人達もいるでしょう。

また、上限目標値に達していれば
その局面において十分なスケールメリットを
発揮できると言われています。

そのことからも
わざわざ不効率なところへ
経営資源を配分するよりも、
別の局面に資源を配分する方が
理にかなっているのでは?

というのが100%シェアがもたらす
収益性についての懸念点です。

デメリット③「安全性」

ランチェスター戦略では、
一騎討ち戦という弱者の戦い方があるように、
1社独占の市場は「弱者の狙い目」です。

1対1の勝負ならば
弱者にも勝ち目があることは
これまでお話した通りですね。

特に生産財業界であれば
「部品の供給先が1社」
というのは非常に危険なことです。

なぜなら、
その部品の供給が止まってしまえば
生産がストップしてしまうことになるので
供給が途絶える状況は
絶対に避けなければならない
という心理が働くわけです。

コスト圧縮も考えると、
セカンドソースとして複数の業者に競争させ
調達先を確保する方が理にかなっていますよね。

それに1社独占ということは、
自社の危機感が低くなると思いませんか?

日本が平和ボケしていると言われるのは
安全な証拠であり素晴らしいことですが、
逆に言えば
それだけ身の危険に対して
無防備なことも意味していますよね。

以上、成長性、収益性、安全性の
3つの観点から見て
1社独占の100%シェアは
決して良いとは言い切れない

ということです。

なので、競合が結託して仕掛けてきても、
返り討ちできるだけの3倍シェア「73.9%」こそが、
結果的に成長性も収益性も安全性も高まる
上限の目標値であると定めているのです。

安定目標値:41.7%

安定目標値41.7%

シェア「40%」(四捨五入して41.7%を
40%と捉えても良い)という数値は
自動車やビールなど大きな業界で
目標にされている数値のため
良く目にする数値でもあります。

競合局面ごとで見てみると
わかることですが、
40%シェアを超えている会社は
多くの場合トップです。

また40%を超える会社は
ダントツの1位(No.1)であることが多いです。

そうなると地位は高く
消耗戦に巻き込まれづらいため
収益性が高まります。

また同時に顧客から最も選ばれる対象ですので、
広告効果は高まり儲かりやすく
立場は安定するということです。

安定=50%ではない理由

安定ということは
「過半数の50%では?」と言われそうですが、
実は、市場占有率競争において
「過半数」はあまり意味ある数字ではないのです。

それはなぜかというと、
仮にライバルが1社しかないとするなら、
過半数を取ってもライバルが過半数近くを
持っているわけですから、全く安定しませんよね。

ライバルが1社の場合は
やっぱり4分の3取らなければ安定しません。

でも、
ライバルが1社というケースはそう多くなくて、
ほとんどの競争は、プレイヤーが3社、4社、5社、
それ以上いるのが一般的ですよね。

そうなってくると、
過半数の50%を持たなくても
40%持てば、まず間違いなく1位で、
かつ2位以下を圧倒する
ダントツになる
ことが
統計的にも明らかになっています。

40%のシェア掌握が独走体制の指標となる

ランチェスター協会の姉妹団体である
ランチェスター戦略学会での統計調査では

”1位の会社が41.7%の占有率を超えると、
2位との差がルート3倍以上
開いてしまう可能性が75%”
という統計結果が出ました。

つまり、41.7%を超えると
「4社のうち3社がダントツの1位(No.1)」
になるということが証明されているということです。

つまり、
殆どの場合の競争は3社以上で、
その中で独走体制をつくるためには
この安定目標値の41.7%を確保することが大切で、
このことからもランチェスター戦略では、
シンボル数値「41.7%」を
最も重要な数値として見ています。

下限目標値:26.1%

下限目標値26.1%

続いてが「26.1%」の下限目標値。

下限と言うと
「下のギリギリ限界のところ」という意味ですが、
何の下限なのか?と言うと
「強者の戦略がとれる下限」ということです。

たとえば、
細かく分散しているような市場では、
シェア10%でも1位になる
そんなケースが多々あります。

でも、10%しかない会社が1位だから
「強者の戦略を使って良いのか?」
「ミート戦略をとって良いのだろうか?」
と言うと、それはダメです。

これは業界別のシェアなどを調べれば
分かりやすいのですが、
1位が10%ということは、
おそらく2位が9%、3位が8%という形で、
ほとんど差がない状況の場合が多いです。

ということは、
その地位は「不安定」ですよね。

ほとんど差が無い僅差の接戦で、
消耗戦が繰り広げられるのですから、
いつ立場が逆転するか
極めて不安定な状態と言えます。

なので、
この下限目標値「26.1%」を確保していない1位は、
まだ「なんちゃって強者」で
「1位」で且つ「26.1%」を確保しているものが、
はじめて「強者」としての戦略をとることができる
ということです。

まとめると、
この「26.1%」は、
強者の戦略が取れる下限という意味で、
弱者が当面の目標として
追いかけるべき数値となります。

上位目標値:19.3%

上位目標値19.3%

ここからの数値、
19.3%、10.9%、6.8%、2.8%は、
「下限目標値:26.1%」に
至るまでのマイルストーン
(中間目標値)という位置づけです。

なので26.1%を目標としている中で、
今どの位置にいるのか?
を定期的に把握する際に使うのが良いです。

この「上位目標値:19.3%」を
簡単に説明すると、
今、競争しているグループの中で、
上位層に食い込む目安です。

なので、
この19.3%に到達したら
今の競合局面で上位グループの
仲間入りしたと考えます。

もちろん、
場合によっては1位になることもありますが
あくまで「弱者の中の強者」
という程度で過信は禁物です。

この数値の計算式は以下の数式で
定められた数値です。

「下限目標値26.1」
×
「上限目標値73.9%」

影響目標値:10.9%

影響目標値10.9%

この10.9%は、
名前の通りで市場全体に対して
影響を与えるだけの存在であることを示しています。

逆に言えばライバルからも
一目置かれるようになることから
強者やライバルから叩かれる立場とも言えます。

10.9%の計算式は以下のとおりです。

「下限目標値26.1」
×
「安定目標値41.7%」

存在目標値:6.8%

存在目標値6.8%

この6.8%のシェアを獲得することで、
ようやく市場に存在することが
認められるという指標となる数値です。

ライバルから見ても
参入していることがわかるレベルの存在です。

ちなみにランチェスター戦略では
「取引店率(ある特定地域に
自社商品を販売できる店の数が100だとして、
そのうち50店に自社商品の取り扱いがあれば
取引店率50%となる)」を
算出する際に、5%未満を切り捨てます。
※取引店率はカバー率とも言う

そうした意味でも
この存在目標値以下のシェアの間は
存在が認められないのと同じ意味
という扱いの指標です。

6.8%の計算式は以下のとおりです。

「下限目標値26.1」
×
「下限目標値26.1」

拠点目標値:2.8%

拠点目標値2.8%

最後の2.8は、
市場にまだ存在すらしていない立場で、
拠点をこれから構える!
という上での目標値となります。

したがってこの時は、
ランチェスター戦略の実務体系にある
「市場参入戦略」を活用します。

その後、拠点目標値を超えてから
弱者の戦略を使用するという流れです。

2.8%の計算式は以下の通りです。

「存在目標値6.8%」
×
「安定目標値41.7%」

以上が、7つのシンボル数値の内容です。

シェアから導き出される逆転可能な「差」とは?

実は7つのシンボル数値から、
逆転が極めて困難となる「差」がわかります。

その「差」のことを
射程距離理論(3:1の法則)と言います。

「一向二裏」先方を使った赤穂浪士の討ち入り

忠臣蔵のクライマックスといえば
「吉良邸討ち入り」ですが
ここで行われた戦い方が
まさに3:1の法則を使ったものでした。

それは一向二裏(いっこうにうら)という戦法で、
3人1組のチームで2人が全面、
残り2人が後方から回り込んで戦うという方法です。

赤穂浪士側はこの討ち入りで
死傷者ゼロで吉良を討ち取ることに成功しました。

ボクシングなどの格闘技でも
見たことがあるかもしれませんが
どれだけ筋骨隆々の格闘家でも
大人が3人で押さえにかかれば身動きがとれません。

ビジネスも同じで
相手の3倍の力を持って戦えば
まず間違いなく勝つことができる。

すなわち、
相手との差が「3:1」以上の関係になったとき
その勝負は決するとして、
この3倍の「差」をもって
安全な差=安全圏としているのです。

射程距離理論の考え方

7つのシンボル数値の「上限目標値73.9%」

「下限目標値26.1%」
=「100%」

これは比にすると
「2.83倍≒3倍」実際、3倍以上の差がつくと
現実的に逆転が困難となるため、
この3倍差をつければ
安全圏という考え方をする。

また、この射程距離理論は
ランチェスター法則の
第一法則か?第二法則か?

どちらの適用されるフィールドなのか
によって数値が変わります。

  • 第一法則が適用される場合
    例:局地戦や一騎討ち戦
    (単品の客内シェアや2社間競合でのバトル)
    ⇒ 3倍
  • 第二法則が適用される場合
    例:広域戦や確率戦
    (全国シェアに限らず商品別、
    地域別、販路別など殆どの場合はこちら)
    ⇒√ 3倍

上記の通り、
第一法則が適用される場合は
「3倍」が安全圏の指標となり
第二法則の場合は
「√3倍」となります。

なぜ、第二法則の場合は
「√3倍」になるのかというと
第二法則の場合は「兵力数が2乗」される
ということでしたよね。

つまり、
2乗倍することで
「3倍」となる「約1.7倍=√3倍」が、
(50:30の割合とイメージするとわかりやすい)」
第二法則の場合における射程距離になるわけです。

シンボル数値に加え市場のシェア争いにおいて
下記のように考え射程距離を活用します。

  • 上位との力関係はどうか?
  • 追いつける逆転可能範囲か?
  • 下位のライバルとの差は
    安全圏に引き離しているのか?

競争におけるシェアのパターンの『型』

市場のシェアというのは、いくつかのパターンがあり
その代表的なパターンは以下の5つです。

  • ①分散型
    条件:「1位≦26.1%」且つ
    「各社の差√3倍以内」
    イメージ:どんぐりの背比べ状態
    A社:23% B社:19% C社:16%
    D社:13% E社:12% F社:10% G社:6%
  • ②ビッグ3型
    条件:「1位+2位+3位≧73.9%」且つ
    「1位≦2位+3位」且つ
    「1〜3位の各社の差√3倍以内」
    イメージ:3社の勝ち組と残りの負け組
    A社:32% B社:27% C社:22%
    D社:7% E社:6% F社:4% G社:2%
  • ③ビッグ2型
    条件:「1位+2位≧73.9%」且つ
    「1位と2位の差が√3倍以内」
    イメージ:2社の勝ち組と残りの負け組
    A社:39% B社:34% C社:17%
    D社:4% E社:4% F社:3%
  • ④一人勝ち型
    条件:「1位≧41.7%」且つ
    「1位と2位の差が√3倍以上」
    イメージ:1社の勝ち組と残りの負け組
    A社:46% B社:22% C社:14%
    D社:11% E社:7%
  • ⑤独占型
    条件:「1位≧73.9%」
    イメージ:1社の独り占め状態
    A社:75% B社:12% C社:8% D社:5%

ひとつずつ説明していきます。

①分散型

この形は戦国時代のような
群雄割拠のイメージです。

1位が26.1%以内のシェアで、
他のライバル企業のシェアの差が
√3倍(1.7倍)以内の混戦状況、
どんぐりの背比べのような
殆ど差がない分散したシェア状態を
分散型としています。

②ビッグ3型

これはケータイ3社を
イメージすればわかりやすいですね。

業界トップの3社がほぼ独占で
73.9%以上を占めていて、
1位が、2位と3位の合算シェア以下であると同時に、
1〜3位の格差のシェアの差は√3倍(1.7倍)以内、
つまり射程距離に入っている
この場合が「ビッグ3型」です。

③ビッグ2型

たとえばスマホのOS販売シェア

2017年1月日本におけるAndroidとiOSのスマホシェア

kantarworldpanel.comが
公表している2017年1月時点
iOSとAndroid搭載スマホの『日本』のシェアは
iOSが49.5%、Androidが49.0%となっています。

この上位2社が市場の上限目標値73.9%を確保、
そしてこの2社間の差が√3倍以内という
ビッグ2型のパターンです。

④一人勝ち型

これもモバイルOSで見てみましょう。

前述の③ビッグ2型の日本シェアの通り
今のスマホはGoogleのAndroidと
AppleのiOSが主流です。

Net Applications.com、
2017年1月の『世界』のデータ

1位 Android:64.0%
2位 iOS:32.0%
3位 Windows Phone:1.5%
4位 Java ME:1.1%
5位 Symbian:0.8%

Androidが64.0%、iOSが32.0%という
見事に一人勝ち型の条件となっています。

このように1位が41.7%以上のシェアで、
1位が2位を√3倍(1.7倍)以上に
引き離しているパターンを一人勝ち型と言います。

面白いのは、ひとつ前の「③ビッグ2型」で
例としてあげている『世界』のモバイルOSシェアと
この「④一人勝ち型」の例であげている
『日本』のモバイルOSシェアでは
『状況が異なっている』ということです。

余談ですが、
あなたの市場シェアを見る際や
差別化する項目を選ぶ際にも
この「世界」と「日本」の例のように
全体のシェアだけではなく
地域別や商品別といった形で
細分化して考えていけば
逆転可能なところが見つかることがあります。

ざっと全体だけを見るのではなく
「逆転しやすいところが無いか?」
細かく見ていくことが有効です。

⑤独占型

これはPCのOSだとイメージしやすいです。

1位 Windows:91.4%
2位 Mac:6.3%
3位 Linux:2.3%

Net Applications.com
2017年1月のデスクトップシェアだと
Windowsが91.4%のダントツのNo.1です。

2位がMacの6.3%となっており、
独占型の条件通り1社が
73.9%以上を確保しています。

このように
1社の独り占め状態の市場パターンを
独占型と呼びます。

シェアはどう動く?シェアの推移

代表的な5つの
代表的なシェアパターンをご紹介しましたが、
これらは“時”の流れに応じて推移していきます。

たとえば、
大きな力の差がない①分散型の市場も、
時間の経過と共に、3強のビッグ3型、
そして2強のビッグ2型へと

力のないものが淘汰され
強いものがより力を得ていく形で
市場のシェアパターンが推移していきます。

そして
ビッグ2型はやがて一人勝ち型となり、
最終的に独占型となっていくのです。

これは過去の領地の取り合いを
振り返ってもそうなっていますね。

この①分散型〜⑤独占型の
どこのシェアパターンに位置しているのかを確認すると、
今後、次のパターンに移るのであれば
我々はどこの順位を
確保しなければいけないのか?がわかります。
どれだけのシェアを持つ必要があるのか?を

分散型なら、
ビッグ3型を見据えて「上位3位内」に

ビッグ3型なら、
ビッグ2型を見据えて「上位2位内」に

ビッグ2型なら、
一人勝ち型を見越して「1位」へ

上記のような見方です。

【第11章】目次はこちらをクリック

ランチェスター戦略の3つの結論

ここまでの内容は
ランチェスター戦略の成り立ちや
どのような理論、考え方なのかを解説してきました。

ここではこのランチェスター戦略を実践する上で
「3つの結論」と呼んでいる
大事な概念をお伝えします。

ランチェスター戦略の
「3つの結論」とは以下の通りです。

  • 結論①:一点集中主義
  • 結論②:「足下の敵」攻撃の原則
  • 結論③:No.1主義

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

結論①:一点集中主義

ランチェスター戦略3つの結論 一点集中主義

一点集中主義は、
弱者の5大戦略の中にありましたね。

一点集中することの重要性を
再度ここで細かくお伝えするまでもないとは思いますが
短くまとめると、一点集中主義は
「量的優位をつくること」です。

限定した範囲、たとえば市場を重点地域の絞り込み
その細分化された中で相手よりも量で上回ること。

それが一点集中主義です。

選択と集中
数で劣るものが、広げて戦うことの危うさは
これまでに述べた通りです。

弱者は戦場を選択し、
そこに戦力を集中することが勝利の鍵です。

ビジネスで言えば
下記をさらに絞り選択します。

  • 商品
  • 地域
  • 流通(販路)
  • 顧客(客層)

選択すべきところは
「自社が勝ちやすいところ」

重点化する項目を絞り
そこに集中し量的な優位性をもって
競争に勝つべくして勝つのです。

大きな市場で小さなシェアをとっても
儲かりません。

小さな市場で大きなシェアを持つことの方が
大きく儲かるのです。

一点を定め、そこに戦力を集中投下する
これが一点集中主義です。

結論②:「足下の敵」攻撃の原則

ランチェスター戦略3つの結論 「足下の敵」攻撃の原則

これは、足元の敵=1ランク下の敵
を攻撃することが原則であるというものです。

1ランク下とは、
シェア順位の1つ下の相手ということです。

市場の中に自社を含め
複数のプレイヤーが存在する中で
それぞれがシェアを取り合っているわけですが
その中で、「適当にシェアを奪うのか?」
というとそれは戦略的ではないですよね?

戦略とは、『狙い撃ち』です。

どこを狙うのか?

その答えが『足下の敵=1ランク下の相手』
ということです。

「えっ、もっと下位の
弱い相手を狙った方が良いのでは?」
と思われる方もいるかもしれません。

これは一見、正しく思えるのですが
よく考えてみてください。

足下を狙うことの方が
より下位の相手を狙うことよりも
理にかなっていることがわかるはずです。

それはなぜか?

■Aパターン
・仮に自社のシェアが25%
・足下の敵が20%、
・更に下位の相手が10%

上記として、
・更に下位の相手
からシェアを5%奪ったとすると
・自社のシェアは30%
・足下の敵は20%
・更に下位の相手は5%
自社のシェアは5%アップ
足下の敵との差は変わらず10%。

では、同じように、
足下の敵から5%シェアを奪うと
どうなるでしょうか?

■Bパターン
・自社のシェアは30%
・足下の敵は15%
・更に下位の相手は10%

自社のシェアは「Aパターン」と同じく
5%アップして30%ですが、
足下の敵は5%減って15%となり
その差は『15%』

同じ5%を奪うとしても、
足下の敵から奪うAパターンであれば
自社と足下の敵との差が2倍となり

射程距離√3倍(1.7倍)以上引き離し
安全圏とすることができました。

つまり、
今の位置を盤石なものに
強化するのであれば、
下位は下位でも、
『足下』の相手を狙い撃つことがより効果的である
ということがわかります。

ちなみに、
足下の敵を叩く時の力関係は
自社が強者、相手が弱者となるため
基本戦略はミート戦略となります。

「足下の敵」攻撃の原則は2位にとって重要な原則

2位の弱者が「強者の戦略」を使った事例で
日産がトヨタにミート戦略を仕掛けたことがきっかけで
3位転落に陥った話をしました。

この2位という立場は、
業界でも力を持っているだけに
本来、弱者の戦略で差別化すべき相手に対して
強者の戦略のミートで挑んでしまうことが
少なくありません。

そうした2位の立場にこそ
「足下の敵」攻撃の原則は重要であると
ランチェスター戦略講座では呼びかけています。

結論③:No.1主義

ランチェスター戦略3つの結論 No.1主義

「No.1」と言うと「1位」のことかな?と
思ってしまいそうですが、
ランチェスター戦略では
「No.1」を「特別な1位」として扱っています。

ダントツの1位=「No.1」

ランチェスター戦略の結論は、
マーケットシェアで
「ダントツの1位」を目指すことです。

販売目標のゴールは、市場占有率1位ではなく…
1位で且つ2番以下を圧倒するダントツ
これを「No.1」=「特別な1位」として
ランチェスター戦略で定義しています。

どこまで引き離せば「ダントツ」か?

射程距離理論の項目で、
安全圏となる距離の差は以下のとおりです。

  • 第一法則が適用される場合
    例:顧客内の単品シェア、2社間競合のシェア
    ⇒「3倍」
  • 第二法則が適用される場合
    その他すべての場合
    ⇒「√3倍」

このような形で、
一般的には「√3倍(1.7倍)差」

ライバルが1社しかいない2社間競争の場合や
顧客内占有率のときは「3倍差」

上記の差つけた1位を
ダントツの1位=No.1としています。

2番じゃダメですか?

2番目に高い山は?3番目に高い山は?

日本一の山は富士山ですよね。

では2番目に高い山をあなたは知っていますか?

3番目は知っていますか?

何にしても2番も3番も
上位という認識があるものですが
僕達の記憶には中々残りません。

だから、1番でなければならないんですね。

また、1位であっても、
2位との差があまりない状況だと、
どうしても消耗戦になりがちで、
お互いにあまり儲かりません。

しかし、
相手との「差」が圧倒的につくと
諦めたくなりますよね?

あなたが1位で2位と圧倒的差をつければ
相手は「まともに張り合うことは避けよう」と、
住み分けを意識していくようになります。

そうするとその局面では、
あなたの一人勝ち。

収益性は高まり、
グングン成長していくことができるというわけです。

このようにランチェスター戦略では
市場ごとに1位で且つ
2番以下を圧倒するダントツ=『No.1』となることを、
販売目標のゴール
としています。

この考え方を『No.1主義』とし、
ランチェスター戦略の結論としています。

【第12章】目次はこちらをクリック

ランチェスター戦略のオススメ書籍一覧

ランチェスター戦略のおすすめ本

本来の理論や考え方を突き詰めていくと、
非常にレベルが高く少し難しいのですが
そうしたものに興味がある人も
中にはいらっしゃるかもしれません。

また、一方でもっとわかりやすいものや
バラエティに富んだもの、使えるハウツー本が
知りたいという方もいらっしゃると思います。

そこで僕がオススメする書籍を
次の項でまとめましたので
ランチェスター戦略をもっと学びたいという方は
ぜひ参考になさってください。

元祖ランチェスター戦略

  • ランチェスター販売戦略〈1〉
    ランチェスター戦略入門

    (1972年)(市場占拠No.1シリーズ)田岡 信夫
  • ランチェスター販売戦略〈2〉
    市場参入戦略

    (1973年)(市場占拠No.1シリーズ)田岡 信夫
  • ランチェスター販売戦略〈3〉
    テリトリー戦略

    (1973年)(市場占拠No.1シリーズ)田岡 信夫
  • ランチェスター販売戦略〈4〉
    代理店・特約店戦略

    (1973年)(市場占拠No.1シリーズ)田岡 信夫
  • ランチェスター販売戦略〈5〉
    セールスマン戦略

    (1973年)(市場占拠No.1シリーズ)田岡 信夫

まずは、田岡信夫氏の書籍です。

古い部分もありますが、今から40年以上前と考えると
秀逸過ぎる内容になっています。

今のランチェスター戦略を更に深掘りしてある
正に戦略書という感じの仕上がりです。

ランチェスターのルーツから研究したいという
マッド・サイエンティストの方に
この書籍はおすすめです。

理論と実務と事例、全部学びたいなら

  • ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則
    福永 雅文(日本実業出版社)
  • 「営業」で勝つ!ランチェスター戦略
    福永 雅文 (PHPビジネス新書)

上記は、何度も何度も拝読した
思い入れの深い書籍であり
僕がランチェスター戦略を学んだ師の高著です。

前者の【弱者逆転の法則】は、
事例が豊富でなんといっても読みやすく
成り立ちから、現代のビジネスに応用される流れが
とても良くわかる内容にまとまっています。

後者の【「営業」で勝つ!ランチェスター戦略】は、
営業管理職の方にぜひ読んでもらいたい本で
コンパクトな書籍ですが、重要な要所は上手く
押さえられた実践的な内容になっています。

派生・応用のランチェスター戦略なら

なぜ、「会社の数字」は達成されないのか?
竹田 陽一(フォレスト出版)

この書籍は、正に「中小零細企業」のための本です。

あなたが社長で、「経営計画」を本気でつくって
会社を飛躍させたいと思うのであれば
この本はおすすめです。

ランチェスターの8大要素
  • ①「商品」
  • ②「営業地域」
  • ③「業界・客層」
  • ④「営業」
  • ⑤「顧客維持」
  • ⑥「組織」
  • ⑦「資金・経費」
  • ⑧「仕事時間」

これらの項目を精査して、
小さな会社が利益を伸ばすための
屁理屈なしの「実行計画書」をつくる
手順が示されています。

ランチェスター系の書籍の中でも
竹田さんの本は毛色が違って面白いです。

辛口ですが、新たな視点を得られるはず。

以上がおすすめのランチェスター書籍です。

【第13,14章】目次はこちらをクリック

【まとめ】ランチェスター戦略の教科書-理論編-

いかがだったでしょうか?

ランチェスター戦略は、起源をだどれば
第一次世界大戦までさかのぼる
戦闘の勝ち負けのルールであること

それが、時代と共に受け継がれ
現代ビジネスにおける
販売競争を勝ち抜くためのルールへ
進化を遂げてきたということが
わかって頂けたのではないでしょうか?

ここまでの内容が頭に入れば
本家のランチェスター戦略における
理論はマスターしたと言っても過言ではないです。

あとは実践あるのみです。

ランチェスター戦略の実務体系は、
【永久保存版】ランチェスター戦略の教科書-実践編-
こちらからご覧ください。

Web集客のルールに沿ったランチェスター式Webマーケティング

弊社では、このランチェスター戦略を
Webマーケティングに応用して
如何にすればこれからの時代の
ネット戦略を勝ち抜いていけるのか?を
日々研究し、多種多様な業種の
新規集客支援を行っております。

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一度、弊社までご相談ください。

戦略的な集客サイト作成を支援し、
リスティング広告やSNS広告を使った
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オルフェス株式会社代表取締役社長木下 知和
▼実績一例
✓広告をいくら出しても全く反響を取れなかった複雑なBtoB商材でも、
たった3ヶ月で10件以上の安定継続的な反響を実現!

✓小規模の通販におけるWEBマーケティングを全体最適化し、
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営業とは無縁のスタッフでも、同業比2.5倍以上の受注成約数を生み出す3:1営業スキームを構築。
たった6ヶ月で3名のチームを10倍以上の事業組織に成長させ、新営業所の立ち上げに貢献。

▼PROFILE
世の中の理不尽に抗えない自分の弱さを乗り越えたい一心で
「絶対にやりたくない」と思っていた営業の世界へ意を決して飛び込みコンフォート・ゾーンを塗り替える。
超個性的な営業担当者の集う会社の中で全国社長賞、事業部最優秀実績を獲得。

その後、営業代行、WEBマーケティング会社での経験を経て、ランチェスター戦略と出会い「現代のWEBマーケティングにも応用できるはず」と
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ランチェスター式WEBマーケティングとして今のコンサル原型となる独自モデルを開発。
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扱って欲しいテーマなどありましたらこちらにお願いします

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